研究課題/領域番号 |
22K07540
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山口 浩雄 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00701830)
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研究分担者 |
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
吉良 潤一 国際医療福祉大学, 医学研究科, 教授 (40183305)
松瀬 大 九州大学, 医学研究院, 助教 (70596395)
真崎 勝久 九州大学, 大学病院, 講師 (90612903)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症 / α-シヌクレイン / モデルマウス |
研究実績の概要 |
多系統萎縮症(multiple system atrophy: MSA)は根治療法のない神経変性疾患で、日本人ではMSA-C(小脳型)が多い。これまでMSA-Cの適切な動物モデルはなかったが、私たちは、これまでに報告の無いTet-off システムを用いた、独自の新規 MSA-Cモデルマウスの開発に成功した(論文投稿中)。 MSAマウスモデルの 脳幹小脳、脊髄よりミクログリアを回収し、単一細胞 RNA解析による詳細なミクログリアの遺伝子発現解析を行い、MSAに特異的なミクログリアと考えられる亜集団を見出した。また、このマウスではアストログリアも活性化がみられた。私たちは、独自のMSAモデルマウスを用い、グリアを標的とした治療実験を行いその効果を検証し、MSAの治療法を確立することを目指している。 コネキシン (Cx) ギャップ ジャンクションは、隣接するグリア間の細胞間コミュニケーションを可能にし、中枢神経系の恒常性を維持している。一方、Cx ヘミチャネルは、神経炎症を促進する炎症誘発性サイトカインを放出することが知られている。MSAマウスは22 週齢から急速に進行する運動失調を示し、リン酸化α-シヌクレインの蓄積、脱髄、脳幹/小脳の活性化ミクログリオーシスおよび反応性アストログリオーシスを伴う神経細胞の喪失を示した。アストログリアのCx43/Cx30およびオリゴデンドログリアのCx47/Cx32は、リン酸化α-シヌクレインの蓄積とともに大幅に減少した。一方で、Cx ヘミチャネル は、ミクログリア、アストログリアで活性化が認められた。現在、Cxへミチャネルブロッカーの投与実験、およびその解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独自のMSAモデルマウスを用い、グリアを標的とした治療実験の一つとして、コネキシンへミチャネルブロッカーの投与実験を行い、解析が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、行っているMSAマウスモデルに対するへミチャネルブロッカーの投与実験、およびその解析を継続する。さらにグリア細胞を標的にした他の治療法についても試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、本実験とともに、本研究成果をまとめた論文執筆を行ったため次年度使用額が生じた。次年度は新たな治療法開発のための研究を行うため、本年度の繰越額も含めた研究費を使用予定である。
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