研究課題
若年発症の常染色体劣性遺伝性パーキンソン病(Parkinson's disease, PD)の原因遺伝子であるVacuolar protein sorting 13 homolog C (VPS13C)、およびそのパラログ遺伝子であるVPS13A//B/Dについて、PD発症における遺伝的要因の意義と機能の解明を目指し研究を進めた。遺伝子パネルを用いたVPS13A/B/C/Dの網羅的スクリーニングにより検出されたレアバリアントについて、さらに患者数を増やし、日本人PD患者群904人、コントロール群276人について関連解析を行った。有害性が予測された患者特異的なレアバリアントも検出されたが、両群間でレアバリアントの保有率に差はなかった。また両群間で明らかな頻度差があるコモンバリアントも検出されなかった。患者群に対しコントロール群の例数が少ないことが統計学的な限界と考え、現在公開されているJapanese Multi Omics Reference Panel (jMorp)のデータを日本人健常コントロールのデータとして用い、改めて関連解析を行う。VPS13C変異を有する2例(複合ヘテロ接合体変異、ヘテロ接合体変異各1例)の患者から樹立したiPS細胞より分化誘導して作成したドパミン神経細胞において、細胞外フラックスアナライザーXFとミトストレスキットを用いてミトコンドリア呼吸能を測定した。既報のVPS13CをノックダウンしたCOS-7細胞と同様に、呼吸予備能および最大呼吸能の増加を示す結果が得られたが、再現性が不良であり、神経細胞の作製について再検討の必要が生じた。
3: やや遅れている
論文作成を考慮して患者群1,000人、コントロール群500人を最低必要人数と考え、それを目指したが、コントロール群についてはこれ以上の収集は困難となった。そのため公共ゲノムデータベースをコントロール群のデータとして利用し、再解析することになった。患者由来iPSから作製したドパミン神経細胞によるミトコンドリア呼吸機能解析では、再現性に問題が生じた。この点を解決するためにはドパミン神経細胞の作製から見直す必要があり、遅れが生じた。
jMorpのゲノムデータを日本人健常コントロールとして利用し、改めてVPS13A/B/C/Dについて関連解析を行い、PD発症のリスクについて検討する。病的あるいは有害性が予測されたレアバリアントを持つ症例について、臨床遺伝学的比較を行い、レアバリアントと臨床像の相関を検討する。
コントロールの追加を予定していたが、サンプル収集できず、解析ができなかったため。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
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