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2022 年度 実施状況報告書

レビ-小体型認知症における血液診断マーカーの開発について

研究課題

研究課題/領域番号 22K07547
研究機関近畿大学

研究代表者

西郷 和真  近畿大学, 大学病院, 教授 (50319688)

研究分担者 永井 義隆  近畿大学, 医学部, 教授 (60335354)
斎藤 芳郎  東北大学, 薬学研究科, 教授 (70357060)
山岸 裕子  近畿大学, 医学部, 講師 (80826040)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード認知症 / レビー小体型認知症 / アルツハイマー型認知症 / パーキンソン病 / パーキンソン症候群 / バイオマーカー / DJ-1 / 鑑別
研究実績の概要

認知症と関連する精神神経疾患や神経変性疾患は多く、アルツハイマー型認知症(AD)をレビ-小体型認知症(DLB)、パーキンソン病(PD)、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)など多数の疾患にわたる。しかし、その鑑別診断には専門医でも難渋することが多いため、鑑別できる精度の優れた診断マーカーが求められている。そこで申請者はAD、DLB 、PD、PSP、MSA等の認知症に関連するバイオマーカーとなり得る候補代謝産物として、赤血球中の酸化型DJ-1蛋白(oxDJ-1)について注目し研究を続けてきた。ADのバイオマーカーは海外においても検討されている。これまでに髄液または血液を対象にし、α-シヌクレインやアミロイドベータ(Aβ)蛋白、タウ蛋白等が報告されている。また、DLBの病理変化であるレヴィ小体の主成分であるα―シヌクレインは、髄液・血液で各々測定され、髄液ではPD患者では対照群と比べて低下するという報告もあるが対照群と比較して差がないという報告もある。DLBやPD患者において、DJ-1については、髄液・血液ともに検討されてきた。髄液では対照群と比較して、DLBやPD患者では低下するとされているが、中には上昇したと報告するものもある。しかしながら、AD患者の血液では、酸化されていないDJ-1を測定したところ、対照群と比べて有意差がなかったものや、増加していたものと報告は一定していない。よって、AD 患者とDLB患者を比較することで、認知症発症の病態に酸化ストレスが関与していることも同時に検討できる上に、赤血球中の酸化型DJ-1蛋白(oxDJ-1)は、髄液・血液中のDJ-1と比べPDの早期診断の手助けとなり、AD ばかりか、DLBの病態機序解明へつながる可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今回は、特にDLBとその他の認知症において、oxDJ-1が他の認知症と比較して優位な上昇を来している可能性について検討し、DLBと他の認知症における血液診断マーカーとなり得るかどうかを明らかにする。同時に、DJ-1 関連蛋白を網羅的体内微量蛋白解析(プロテオーム解析)する事により、血液、尿検査による簡便な診断マーカーの候補となり得る候補蛋白を明らかにする。本研究は、この後の日本の高齢化による認知症発症のメカニズムの解明と認知症の血液検査による簡便な新規診断薬として臨床的応用が目前となっている研究であり、強力に推進すべき研究である。
DJ-1蛋白は、酸化ストレス制御やミトコンドリア関連蛋白としての機能が報告されてきた。申請者は、DJ-1 タンパクの106 のシステインが酸化されたoxDJ-1(図1、図2)を認識する抗体を用いて、ELISA 法によって定量化しoxDJ-1 を測定することで、パーキンソン病の早期診断の診断マーカーの可能性を見出した. さらに今まで患者サンプルからDJ-1タンパクの106部位のシステインだけでなく、DJ-1タンパクの他の部位のリン酸化も重要であり、その部位でのリン酸化と、106部位でのリン酸化との関連などについても、検討が必要であると考えられる。

今後の研究の推進方策

今回は、特にDLBとその他の認知症において、oxDJ-1が他の認知症と比較して優位な上昇を来している可能性について検討し、DLBと他の認知症における血液診断マーカーとなり得るかどうかを明らかにする。同時に、DJ-1 関連蛋白を網羅的体内微量蛋白解析(プロテオーム解析)する事により、血液、尿検査による簡便な診断マーカーの候補となり得る候補蛋白を明らかにする。本研究は、この後の日本の高齢化による認知症発症のメカニズムの解明と認知症の血液検査による簡便な新規診断薬として臨床的応用が目前となっている研究であり、強力に推進すべき研究である。
DJ-1蛋白は、酸化ストレス制御やミトコンドリア関連蛋白としての機能が報告されてきた。申請者は、DJ-1 タンパクの106 のシステインが酸化されたoxDJ-1を認識する抗体を用いて、ELISA 法によって定量化しoxDJ-1 を測定することで、パーキンソン病の早期診断の診断マーカーの可能性を見出した。今後は、さらに今まで患者サンプルからDJ-1タンパクの106部位のシステインだけでなく、DJ-1タンパクの他の部位のリン酸化も重要であり、その部位でのリン酸化と、106部位でのリン酸化との関連などについても、検討が必要であり、血液サンプルのみならず、髄液サンプルとの比較などを行い、バイオマーカーとしての制度を確立して行く予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染症により、一部の研究進捗の遅れが生じているため。今後未執行額は、次年度の試薬の購入に使用予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Redox-sensitive DJ-1 protein: an insight into physiological roles, secretion, and therapeutic target2022

    • 著者名/発表者名
      Dash Biplab Kumar、Urano Yasuomi、Saito Yoshiro、Noguchi Noriko
    • 雑誌名

      Redox Experimental Medicine

      巻: 2022 ページ: R96~R115

    • DOI

      10.1530/REM-22-0007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Selenoprotein P Concentrations in the Cerebrospinal Fluid and Serum of Individuals Affected by Amyotrophic Lateral Sclerosis, Mild Cognitive Impairment and Alzheimer’s Dementia2022

    • 著者名/発表者名
      Urbano Teresa、Vinceti Marco、Mandrioli Jessica、Chiari Annalisa、Filippini Tommaso、Bedin Roberta、Tondelli Manuela、Simonini Cecilia、Zamboni Giovanna、Shimizu Misaki、Saito Yoshiro
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 ページ: 9865~9865

    • DOI

      10.3390/ijms23179865

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] パーキンソン病関連タンパク質DJ-1の新規修飾の同定2023

    • 著者名/発表者名
      松田康平1、三田雄一郎2、浦野泰臣1、西郷和真3、伊藤慎二4、斎藤芳郎5、野口範子
    • 学会等名
      第76回日本酸化ストレス学会
    • 国際学会
  • [学会発表] Unknown modification of DJ-1 is increased in red blood cells from Unmedicated patients with Parkinson’s disease2022

    • 著者名/発表者名
      Matsuda K, Mita Y, Urano Y, Saigoh K, Ito S, Saito Y, Ogochi N
    • 学会等名
      SfRBM(Society for Redox Biology and Medicine)29th Annual Conference
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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