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2022 年度 実施状況報告書

産後うつ支援における新規検査手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07555
研究機関山梨大学

研究代表者

小林 慶太  山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70625954)

研究分担者 石黒 浩毅  山梨大学, 大学院総合研究部, 特任教授 (20375489)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード産後うつ / マタニティーブルーズ / 精神疾患合併妊娠 / 質問票 / 虐待
研究実績の概要

妊産婦死亡の原因の一位は自殺であり、産褥婦の自殺は児との心中が少なくない。また産後うつはネグレクトのリスクが高く、児童虐待予防の観点からも少子化対策の観点からも、周産期精神科医療の質的改善は喫緊の課題である。
産後の母親の精神症状(こころの辛さ)を評価するには、マタニティーブルーズと産後うつをそれぞれ個別に評価すべきである。しかし国内外を問わず、そしてICD-10やDSM-5の間でも、マタニティーブルーズと産後うつについて一致した診断基準がない。現在国内で臨床導入されているエジンバラ産後うつ病評価票(EPDS)はイギリスで開発された産後うつスクリーニングであるが、自己評価形式であることから自身の辛さを主張することが苦手な日本人の気質にそぐわず、産後うつの偽陰性が多く認められることが指摘されている。さらにEPDSスクリーニング時期をマタニティーブルーズを評価すべき時期である産後2週間と1か月とすることは、産後うつの好発期が産後3から6か月である臨床特徴に照らしても妥当性に欠ける。マタニティーブルーズ評価票(MBQ)の質問項目の多くはEPDSに含まれない。
本年度では当院に受診した母親の産後1か月検診でのEPDS評価とマタニティブルーズおよび産後うつの発症と関連について検証を行ったが、陽性的中率は50%程度であった。そこでEPDS、MBQに加えて、母親の幼少期の虐待体験および性格検査等について総合評価できる質問票を作製した。この質問票を用いて、産後0か月から1年間の周産期・産後の継続的なスクリーニングを開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

国内で用いられている産後1か月のEPDSにてマタニティーブルーズや産後うつ発症の陽性的中立が著しく低いこと、産後うつとマタニティーブルーズの発症期間や症状など診断基準が国内外の専門機関、DSM-5、ICDで異なっている事から、既知の評価方法を参考にして、評価項目・評価日・評価者などの見直しと修正を行ってきた。母親の幼少期の虐待体験が産後うつに影響を与えるとの知見があり、評価項目に追加した。これら新規評価方法の検証と倫理委員会での審査に時間を要したため、被験者への調査開始が遅れることとなった。

今後の研究の推進方策

マタニティーブルーズならびに産後うつの既知および新規評価項目が確定し、質問項目について倫理委員会にて妥当性の承認が得られたことから、出産した母親のリクルートと研究参加へのインフォームドコンセント、調査実施が始まっている。
山梨大学医学部附属病院産婦人科での年間出生数は600名以上であり、山梨県での周産期および産後メンタルヘルス中核拠点として、さらに本研究を専任にて行う看護スタッフから丁寧な研究説明を行うことにより、令和5年度に240名程度のサンプリングを見込んでいる。

次年度使用額が生じた理由

質問票再策定のために被験者リクルートが遅れたため、PEA測定費用として計上していた約24万円は次年度に持ち越しとなった。令和5年度の採血・PEA測定被験者数を2年間分とすることを計画している。

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公開日: 2023-12-25  

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