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2022 年度 実施状況報告書

中枢無髄神経軸索シナプスに着目した自閉症の病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K07560
研究機関岡山大学

研究代表者

宮崎 晴子  岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80525890)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード自閉症スペクトラム症候群 / 無髄神経 / 髄鞘 / 軸索 / 線条体 / medium spiny neuorn / mTOR / シナプス
研究実績の概要

自閉症スペクトラム症候群 (Autism Spectrum Disorder: ASD) は、コミュニケーション障害、常同行動、限定的興味行動を特徴とする神経発達障害である。近年、ゲノム解析やモデルマウスの解析により、シナプスの機能障害がASD病態に関与することが明らかとなってきた。これまでのところ、樹状突起シナプスの異常とASD行動との関連性は報告されているが、無髄神経軸索シナプスとの関連性については全く調べられていない。
線条体は古くから運動制御を担う脳領域として知られているが、最近では自閉症への関与が指摘されている。また、我々は先行研究としてこの線条体投射神経細胞 (medium spiny neuron: MSN)が無髄神経であることを明らかにしている(Miyazaki H et al., Nat Commun, 2014))。本研究に先立って我々は本来無髄神経である線条体 MSN を有髄化したマウスを作製した。このマウスでは MSN の軸索シナプスがマスクされていることから、無髄神経軸索シナプスの機能解析を行う上でよいモデルとなる。本研究では、当該マウスの組織化学的解析、生化学的解析、遺伝子発現解析(RNA-seq)、網羅的行動解析を行い、無髄神経軸索シナプスの機能障害とASD行動との関連性について明らかにする。今年度は電子顕微鏡観察で当該マウスの病理変化を明らかにし、また遺伝子発現解析を行い発現変動遺伝子群を同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は線条体投射神経有髄化マウス脳サンプルを用いて、電子顕微鏡による超微細形態解析と遺伝子発現解析を行うことができた。電子顕微鏡観察では、線条体 MSN の有髄化だけでなく、MSN の巨大化、リソソームの増加など、この遺伝子改変マウス特有の病理変化を観察することができた。また、12週齢の線条体サンプル(N=4) を用いてRNA-saq解析を行い、padj<0.01, |log2FC|>0.58 の条件で375個の発現変動遺伝子を抽出することができた。以上のことから、現在までの進捗状況をおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

組織化学的解析については、まず電子顕微鏡観察で得られた病理変化の定量解析を行う。続いて免疫染色、Western blotなどによる病態メカニズムの解明を行う予定である。遺伝子発現解析については、qPCRによる発現変動遺伝子の検証、Gene Ontology解析を行っていく。また、12週齢のマウスでは多数の発現変動遺伝子が認められたことから、これらの発現変動遺伝子群は2次的な発現変化を含んでいる可能性が考えられた。そのため、次年度は6週齢のマウスで遺伝子発現解析を行い、発現変動遺伝子の絞り込みを行う。また、次年度は線条体投射神経有髄化マウスの網羅的行動解析を予定している。

次年度使用額が生じた理由

(次年度使用額が生じた理由)今年度に予定していた網羅的行動解析だが、必要なマウス数を得るのに時間を要したため、次年度に持ち越しとなった。そのため差額が生じた。
(使用計画)当該マウスの網羅的行動解析を行うためのマウスの維持費、輸送費(外部施設に解析を依頼済み)、微生物検査費用に多額の費用がかかる見込みである。これらの費用に差額分を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Analysis of interacting proteins of the voltage-gated sodium channel Nav1.22022

    • 著者名/発表者名
      Haruko Miyazaki, Nobuyuki Nukina
    • 学会等名
      NEURO2022
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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