研究課題/領域番号 |
22K07562
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
吉野 祐太 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (10646243)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エクソソーム / 自閉症スペクトラム障害 / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
L1CAM抗体を用いた免疫沈降法により神経由来のエクソソームを抽出し、健常対照群と比較して自閉症スペクトラム障害(ASD)群においてmiR-20a-5pが有意に1.16倍上昇していることを確認した(P=0.003)。In silico解析により、miR-20a-5pがAPP, ATG7遺伝子発現を調節している可能性が示唆されたため、In vitro実験として、miR-20a-5pをBV2 cell lineで過剰発現させた結果、App (52%, p<0.001), Atg7 (83%, p<0.001)が有意に発現低下していることを確認した。現在、miR-20a-5pがこれらの遺伝子のseed sequenceに配列特異的に結合して発現低下を引き起こしているかを解明するために、Dual-Luciferase assayを用いた解析を進めている。 Nano-Luciferase CD-81-BV2 cell lineから抽出したエクソソームをマウス尾静脈に投与した後に、脳組織におけるNano-lucifesaseを測定したが、RLUが低値であったため測定は困難だったため、この系での証明は困難であると判断した。 神経由来のエクソソーム内でmiR-20a-5pがASD患者で上昇していることより、このmiRNAが脳内へ与える影響を調べるために、pAAV vectorを用いてマウス脳内にmiR-20a-5pを過剰発現させることを進めている。既にprecursor-miR-20a-5pをクローニングしたプラスミドを作成済であり、今後マウス脳内へ投与し、行動解析、および分子細胞学的な解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初miRNA-seqを用いて、網羅的に神経由来のエクソソーム内のmiRNAを測定する予定であったが、過去我々が行った同様の研究においてエクソソーム内では全てのmiRNAが豊富に発現しているわけではないことが判明していたため、ターゲットを絞ってqPCR法で実験を行った。 末梢から脳内へのエクソソームの移動に関しては、マウス尾静脈からは多くの容量を投与することが困難であり、脳内へ移行するかを判定することが難しいと判断した。そのため、まずは対象とするmiRNAが脳内へどのような影響を与えるかを解明するためにpAAV vectorを用いた解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
miR-20a-5pがAPP, Atg7のseed suquenceに結合して遺伝子発現を低下させているかを解明するために、Dual-Luciferase assayを用いた解析を行う。既にこれら遺伝子のseed sequneceをクローニングしたプラスミドは作成済である。 対象とするmiR-20a-5pが脳内へどのような影響を与えるかを解明するためにpAAV vectorを用いた解析を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
microRNA測定手法として網羅的解析であるmiRNA-seqを予定していたが、研究の方向性、実験結果の信憑性を考慮してqPCR法で行ったため次年度使用額が生じた。そのため、次年度使用額はプラスミドの作成、およびマウスへの投与実験に使用する予定である。
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