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2022 年度 実施状況報告書

高齢者うつ病および認知症における脳内ミクログリアの機能の共通点と相違点

研究課題

研究課題/領域番号 22K07564
研究機関佐賀大学

研究代表者

溝口 義人  佐賀大学, 医学部, 准教授 (60467892)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードミクログリア / iMG cells / 貪食能 / 炎症
研究実績の概要

高齢者のうつ病と認知症の早期鑑別は、薬物療法と介護手段の選択に直結するため大変重要である。高齢者のうつ病は数年で高率に認知症に移行するため、共通した病態メカニズムとして神経炎症、とくに脳内ミクログリアが関与するとされる。しかし、高齢者のうつ病および認知症において、ミクログリアの機能にどのような共通点あるいは相違点があるのか?という疑問は未だ解明されていない。研究代表者らは患者血液サンプルからヒト・ミクログリア様細胞(iMG)を作製し、機能を解析する技術を確立している。本申請研究では、iMGを駆使して、高齢者のうつ病および認知症の病態メカニズムの共通点あるいは相違点を解明することを目的とする。
初年度においては、精神神経科病棟に入院した65歳以上の高齢者のうつ病および認知症患者から血液サンプルを採取し、iMGを作製した。作製したiMGを用いて、高齢者うつ病および認知症の共通する病態メカニズムを解明するため、Aβタンパク貪食能の定量を実施した。作製したiMG細胞は末梢マクロファージよりも脳内ミクログリア細胞に近いmRNAを発現していた。Aβタンパク貪食能については、免疫染色法で定量できた。現在サンプル数を増やしており、今後マイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析結果を炎症関連物質に着目して比較することにより、高齢者のうつ病および認知症の病態メカニズムの共通点あるいは 相違点を明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

うつ病および認知症患者から各10名分ずつサンプルを採取する予定であるが、症例数がまだ不足している。

今後の研究の推進方策

作製したiMGを用いて、高齢者うつ病および認知症の共通する病態メカニズムを解明するため、 1)Aβタンパク貪食能の定量、2)細胞内Ca2+動態およびNO産生・放出能の解析を実施する。さらに次年度においては、うつ病および認知症患者から採取したサンプルが各10名分ずつ集まった時点で、iMG mRNAを、3)マイクロアレイ解析する。マイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析結果を炎症関連物質に着目して比較することにより、高齢者のうつ病および認知症の病態メカニズムの共通点あるいは 相違点を明らかにする。最終年度は2年目までの知見をまとめるが、本申請研究では、マイクロアレイ解析結果で得られたうつ病および認知症の病態に関連する各候補分子について、4)フローサイトメトリーや免疫染色等により、細胞内動態を詳細に解明できると考えている。

次年度使用額が生じた理由

サンプル数が揃った後、マイクロアレイに支出する計画である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Serum soluble triggering receptor expressed on myeloid cells-2 was not altered by rTMS in patients with treatment-resistant depression.2023

    • 著者名/発表者名
      Tateishi H, Matsushima J, Kunitake H, Imamura Y, Kunitake Y, Murakawa T, Mawatari S, Kojima R, Fujii Y, Kikuchi J, Fukuchi J, Sakemura Y, Shiraishi T, Nagahama C, Maekawa T, Asami T, Mizoguchi Y, Monji A
    • 雑誌名

      Neuropsychopharmacol Rep

      巻: なし

    • DOI

      10.1002/npr2.12332.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Serum oxytocin correlated with later logical memory in older Japanese women: A 7-year follow-up study2023

    • 著者名/発表者名
      Kunitake Y, Mizoguchi Y, Imamura Y, Kunitake H, Orihashi R, Matsushima J, Tateishi H, Murakawa-Hirachi T, Yamada S, Monji A.
    • 雑誌名

      Compr Psychoneuroendocrinol

      巻: 13 ページ: 100166

    • DOI

      10.1016/j.cpnec.2022.100166

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Changes in the metabolites of cerebrospinal fluid induced by rTMS in treatment-resistant depression: A pilot study2023

    • 著者名/発表者名
      Tateishi H, Setoyama D, Kato TA, Kang D, Matsushima J, Nogami K, Mawatari S, Kojima R, Fujii Y, Sakemura Y, Shiraishi T, Imamura Y, Maekawa T, Asami T, Mizoguchi Y, Monji A.
    • 雑誌名

      Psychiatry Res

      巻: 313 ページ: 114636

    • DOI

      10.1016/j.psychres.2022.114636.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Association between cortisol and aging-related hippocampus volume changes in community-dwelling older adults: a 7-year follow-up study2022

    • 著者名/発表者名
      Orihashi R, Imamura Y, Yamada S, Monji A, Mizoguchi Y
    • 雑誌名

      BMC Geriatr

      巻: 22 ページ: 765

    • DOI

      10.1186/s12877-022-03455-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ミクログリアの精神医学:脳内脇役細胞の働きから精神疾患の病態治療機序を再構築する2022

    • 著者名/発表者名
      溝口義人
    • 学会等名
      第118回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] わが国で進行中の疫学研究からみた認知症の発症リスク低減 高齢者の精神的健康を維持するために-伊万里市黒川町研究から-2022

    • 著者名/発表者名
      溝口義人
    • 学会等名
      第118回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] オキシトシンと精神医学-自閉性障害を越えてー 高齢者の精神的健康を維持するために-オキシトシンに着目して-2022

    • 著者名/発表者名
      溝口義人
    • 学会等名
      第118回日本精神神経学会学術総会

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公開日: 2023-12-25  

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