研究課題/領域番号 |
22K07566
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
池田 朋広 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (50572872)
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研究分担者 |
松本 俊彦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 薬物依存研究部, 部長 (40326054)
大口 達也 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (40779815)
上原 徹 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (60303145)
種田 綾乃 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (70643261)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 物質使用障害 / 併存性障害 / 支援ツールキット / ITCOD / リカバリー支援 / 統合治療モデル / アディクション |
研究実績の概要 |
本研究は、アメリカ連邦保健省薬物依存精神保健サービス部(Substance Abuse and Mental Health Services Administration;以下、SAMHSA)の開発した併存性障害(重複障害)のための統合治療Integrated Treatment for Co-Occurring Disorders(以下、ITCOD)の翻訳作業と、併存性障害を持つ者への直接的支援で活用できる簡易介入ツール(試作版)の開発を行い、これらを複数の支援機関に配布しアンケートを取るものである。 翻訳作業は、全350頁(図表含む)からなるITCODの全文訳(完成版)に向け取り組んでいる。完成度を上げるため、複数名で互いに翻訳内容のチェックと修正を行ったうえで、さらに、全体の校正を1名で行い、語の整合性や、意味の取違がないように、細かい修正を加えている。さらに別の専門家が、最終チェックを行う予定である。 簡易ツール開発では、令和5年2月に高崎健康福祉大学研究倫理委員会の許可を得て、薬物依存症回復支援施設における当事者へのインタビュ調査を開始している。これに先立ち物質使用障害と他の精神障害を併せを持つ入所者に対し、全16回1クールの「リカバリーワークブックプログラム」を2施設において実施し、自身のリカバリーに対するイメージを膨らませてもらっている。1施設においては、1クール16回とインタビュの両方終了し、現在、文字お越しを行っている。もう一つの施設に対しては、第10回までプログラムが終了しており、残り6回を行った後、インタビュを行う予定である。 アンケート調査については、現在、アンケート用紙の中身について担当者間でZoomミーティングおよび、対面会議を行い、ディスカッションを重ねている。 複数の調査研究が動いてはいるものの、学会発表や論文投稿には、まだ至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
翻訳作業は、全350頁(図表含む)からなるITCODの全文訳(完成版)に向け取り組んでいるが、分量が多いため、翻訳にかなりの負担が生じている。欧米の法制度と日本のそれとの違いも大きく、適した日本語訳が見つからないことも多々ある。また、参考としている他のSAMHSAのEBPツールキット(日本精神障害者リハビリテーション学会 監訳)も、和文としては読みづらく、参考にならない点も多いため苦戦を強いられている状況である。できるだけ、日本人が読んで理解ができるようなものにしたい。 簡易介入ツール開発では、施設の方は、プログラム実施にコロナ禍の影響はありつつも、なんとか進められている。ただ、これまで何名かの入所者が施設からいなくなってしまっており、対象者数が減っていることから、想定して人数が集められない可能性もでてきている。そして、これとは別に、研究協力者が所属する公立精神科病院(医療機関)においても、ワークブックを用いた個別の介入を行っているが、コロナの影響や担当者の異動等もあり、プログラム実施後の調査研究には、手が付けられていない。 前述の2つの支援ツールの配布とアンケート調査(第3研究)については、分担研究者1名が体調不良となり、退職予定の休職となってしまったため、今後の対応については、改めて残ったメンバーで研究計画の再検討が必要な状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、各研究ごとにプロジェクトチームを組み、分担研究者および研究協力者によるZoomミーティングを重ねている。そのため、各研究プロジェクトの進歩状況については、全体の共有はできている。そのうえで、各自が自身の役割を十分認識して、それぞれに動いていることから、基本的には大きな変更はなく、このまま進めたいと考えている。 2023年8月に研究分担者の協力を得て、本研究に携わる者や近接領域の専門家が対面で集まり、意見交換をできる機会を設けることとしている。併せて、これまでの研究の進歩状況の報告も行うこととしている。 一方、第3研究のアンケート調査では、分担研究者が体調不良によって本研究を離脱する可能性も出てきたため、一定期間様子を見た上で、調査の縮小も視野に入れつつ、別の研究の方法についても検討したいと考えている。2つのツールの認知度を上げることで、多くの支援機関で併存性障害の支援が行えるようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来、翻訳作業が予定通りに進んでいた場合、製本にかかる費用が当該年度に含まれていた。 現在、翻訳作業が終盤に差し掛かっているため、印刷会社の選定を行っている状況である。今年度印刷を依頼した際に、繰り越し分の支払いが見込まれている。
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備考 |
reserchmap研究ブログ より
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