研究実績の概要 |
米国NSRR (National Sleep Research Resource)に格納されたデータベースのうち、MrOS Sleep Studyの2674名の、65歳以上の高齢男性のデータを用いて、睡眠時間の「主観-客観乖離」と、総死亡アウトカムとの関連を検討した。(客観的睡眠時間-主観的睡眠時間)/客観的睡眠時間を誤認指数(MI)と定義し、平均10.8年の追跡期間中の総死亡イベントとの関連を解析したところ、MIは総死亡と直線的な関係を示し、最も低いMI四分位数(対四分位数間MI範囲)は死亡率の上昇と関連したが(HR 1.28; 95%CI 1.12-1.46)、最も高いMI四分位数は死亡率と関連しなかった(HR 0.97; 95%CI 0.85-1.11)。このことより、睡眠時間の主観的過大評価は、高齢男性における総死亡の危険因子である可能性が明らかとなった。本結果は国際科学誌(Scientific Reports, 2022)上で公表した。 さらに現在、当施設の睡眠障害外来不眠症患者における、睡眠時間の「主観-客観乖離」とうつ、不安、健康不安、健康関連QOL等の精神医学的評価指標、血液・生化学検査値を含む各種臨床データとの関連を検討するために、倫理承認を得て、調査を実施中である。 また、「睡眠休養感の欠如」も総死亡リスク(健康リスク)と関連することも示されていることより、睡眠時間の「主観-客観乖離」に「睡眠休養感の欠如」を加え、これらと各種臨床データ、健康転帰との関連を検討する前向き臨床コホート研究も開始した。
|