研究課題/領域番号 |
22K07641
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石松 慶祐 九州大学, 医学研究院, 助教 (20800147)
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研究分担者 |
石神 康生 九州大学, 医学研究院, 教授 (10403916)
藤田 展宏 九州大学, 大学病院, 助教 (30610612)
牛島 泰宏 九州大学, 医学研究院, 准教授 (40432934)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | APT / CEST / 膵臓 / 膵嚢胞 |
研究実績の概要 |
膵臓嚢胞性病変の中で頻度が高いものに膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm; IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm;MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm; SCN)、リンパ上皮嚢胞(lymphoepithelial cyst; LEC)、仮性嚢胞が挙げられる。この中で仮性嚢胞は内部の出血や膵炎の既往などから比較的診断は容易であるが、IPMN、SCN、MCN、LECについては、従来の画像法では鑑別が難しい場合がある。 MRIの新たな分子イメージングであるChemical Exchange Saturation Transfer (CEST)法の一種であるAmide Proton Transfer (APT)イメージングでは、組織中の可動性タンパク/ペプチドの濃度を反映した情報を得ることが可能である。上記の嚢胞性病変は異なるタンパク/ペプチド濃度の内容液を含有すると考えられるため、APTイメージングがこれらの鑑別に役立つことが期待される。従来のAPTイメージングは膵臓のような呼吸の動きの影響のある臓器では困難であったが、当施設で短時間で呼吸停止下に撮像可能な方法を開発したため、これを実際の症例に適用することを予定している。 まず本年度はファントムおよび少数の患者を用いて、APTイメージングにとって重要である飽和パルスの形状、印加時間、強度を様々に変更しながら撮影を行い、最適と思われる飽和パルスのデザインを決定した。 また上記と同様の撮像法で肝も撮影範囲に含むことができるが、肝組織の線維化や壊死炎症といった組織学的変化の判定においても有用性を示唆する結果が得られ2023年の肝血流動態・機能イメージ研究会(Web開催)にて口演にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ファントムを用いた撮像は、卵白アルブミンを用いたものは施行できているが実際の膵嚢胞液を用いた撮影が十分に行えていない。しかし実際の臨床症例の蓄積は当初の予定よりやや進んでおり総合的にはおおむね順調な進行と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
実際の膵嚢胞症例において画像を蓄積し、膵嚢胞の鑑別において APT イメージングが有用であるかどうか検討する。さらに頻度の高いIPMNについては組織異型度の判定にも有用か検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初本年度に予定していた解析用のPC購入を行わなかった。次年度に購入を検討している。 発表学会がWebでの発表であり旅費の使用額がなかった。現地発表のものが増えてきているため次年度以降は使用額の増額が予想される。 本年度はボランティア例への人件費・謝金を計上しなかったので次年度に行うことを検討している。
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