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2022 年度 実施状況報告書

急性期脳梗塞と無症候性脳血管障害の病態解明に向けた高速MR灌流画像撮像法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07657
研究機関九州大学

研究代表者

山下 孝二  九州大学, 医学研究院, 助教 (80546565)

研究分担者 野口 智幸  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 放射線部長 (40380448)
杉森 宏  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 脳血管センター内科担当部長 (50403986)
桑城 貴弘  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 脳血管・神経内科医長 (70568964)
徳永 聡  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 脳血管センター血管内治療担当部長 (90532838)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードMRI / 拡散強調像 / 脳
研究実績の概要

急性期脳梗塞の治療では他施設のrandomized clinical trialにて血管内治療の有用性が複数報告されているが、その適応決定においてMRI、CTなどの画像情報は非常不可欠である。拡散強調像および灌流強調画像を用いる事により、すでに梗塞となっている領域以外に、救済可能なペナンブラ領域を推測する事が可能となる。灌流強調画像には造影剤を用いるCT perfusionやMRI dynamic susceptibility contrast法などがあるが、MRI intravoxel incoherent motion (IVIM)法は造影剤を用いずに、組織の微小灌流と分子拡散を同時に取得可能な方法であり、繰り返し行う事が可能な点も利点となる。拡散の度合いを示すb値を複数取得した後のbi-exponential fittingを行う事で定量値を得る事が可能となるが、急性期脳梗塞患者においては撮像時間をなるべく短くする必要があるため、本研究では、6点のb値を用いて1分強程度で撮像可能なIVIM画像のプロトコールを構築し、29名の急性期脳梗塞患者に適用した。IVIM画像からbi-exponential fittingにより得られたf値およびD*値を用いて、対側健常脳と比較した低下の有無について観察者間一致率を計測した。また、f値およびD*値が低下しなかった症例の臨床特性を調査した。結果、f値およびD*値低下の有無における高い観察者間一致率が得られた。f値およびD*値が低下しなかった症例については、閉塞血管がMR angiographyなどにて再開通している症例が多い傾向にあった。以上の結果が得られたため、学会発表および論文作成を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

撮像パルスシーケンスの最適化、撮像パラメータの確立は過去の文献を参照の上、正常ボランティアの協力の下、順調に施行する事が出来、安定した結果が得られた。解析法については、通常のbi-exponential fittingではノイズが多かったため、最初にD値を取得するtwo-step法を使用する事で、解決した。MRI室での安静が保てない患者では撮像する事が出来なかったが、新規脳血管患者が多く、画像データ取得は予想よりも順調に推移した。脳血管・神経内科および脳血管治療科とはカンファレンス等を通して密に連絡を取る事が可能な環境であり、臨床データ取得も比較的スムーズに行えている。撮像条件の最適化および画像データの再現性については、MR機器メーカーの技術的サポートも受けることができる環境にあり、支援体制は整っている。

今後の研究の推進方策

MR灌流強調画像パラメータと臨床病型・予後の比較・解析、他のモダリティとの組み合わせを用いた包括的評価を検討している。得られた灌流画像について複数の解析アルゴリズムから得られたパラメータにおける観察者間一致率を検討する。高い一致率が得られたパラメータについて、急性期脳梗塞患者における臨床病型・発症からの経過時間・予後との相関を検討する。無症候性の主幹動脈高度狭窄・閉塞患者における脳灌流形態把握に関しても灌流マップを基にした定性・定量評価を行う。初期解析データが不良な場合は撮像条件調整により、アルゴリズムの精度向上を図る。
特に主幹動脈高度狭窄・閉塞患者においてはポジトロン画像など、他モダリティとの組み合わせによる包括的評価を行う。クラスター・スーパーコンピュータによる高精度な解析を検討している。科学技術計算を主目的とするコンピュータであり、ビッグデータ解析を可能とする。得られた膨大な画像データを解析する事で特定の病型検出や予後推定法の確立を行う。

次年度使用額が生じた理由

概ね当初計画通りの支出となった。旅費に関して早期予約による割引を活用した事などにより少額の次年度使用額が生じた。
昨今の燃料費高騰による旅費や物品費高等が予想されるため、予想を上回る燃料サーチャージや物品代高騰時への充填(補填)を計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Interobserver Reliability on Intravoxel Incoherent Motion Imaging in Patients with Acute Ischemic Stroke.2022

    • 著者名/発表者名
      Yamashita K, Kamei R, Sugimori H, Kuwashiro T, Tokunaga S, Kawamata K, Furuya K, Harada S, Maehara J, Okada Y, Noguchi T.
    • 雑誌名

      AJNR Am J Neuroradiol.

      巻: 43 ページ: 696-700

    • DOI

      10.3174/ajnr.A7486

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Unilateral agenesis of internal carotid artery with interparaclinoid and contralateral carotid-anterior cerebral artery anastomoses diagnosed by magnetic resonance angiography: a case report.2022

    • 著者名/発表者名
      Yamashita K, Yasaka M, Uchino A, Noguchi T.
    • 雑誌名

      Surg Radiol Anat.

      巻: 44 ページ: 289-292

    • DOI

      10.1007/s00276-021-02844-0

    • 査読あり
  • [学会発表] Clinical application of intravoxel incoherent motion (IVIM) imaging in patients with acute ischemic stroke2022

    • 著者名/発表者名
      Koji Yamashita
    • 学会等名
      ASNR 60th Annual Meeting & NER Foundation Symposium
    • 国際学会
  • [備考] 九州大学臨床放射線科学分野ホームページ

    • URL

      http://www.radiol.med.kyushu-u.ac.jp/

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公開日: 2023-12-25  

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