研究課題/領域番号 |
22K07663
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
荒牧 修平 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (60907872)
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研究分担者 |
中村 和正 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20284507)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 量子マテリアル / 放射線治療 / 放射線増感剤 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、放射線による外部刺激によって一重項酸素を発生するマテリアルを放射線増感剤として利用することである。まず、ダイヤモンドNVセンタに対して放射線照射を行い、その後一重項酸素を測定したところ、有意な一重項酸素の生成は確認できなかった。さらに電子線アニーリングを施したNVセンタでも検証したが、有意な一重項酸素の生成は確認できなかった。ダイヤモンドNVセンタより励起一重項状態と励起三重項状態が近い光増感剤で検証したところ、いくつかの光増感剤で一重項酸素の生成が確認できた。そのことから、ダイヤモンドNVセンタを放射線増感剤として利用するには、エネルギー準位の操作が必要である可能性が示唆された。エネルギー準位の操作は研究として興味深いものの、実臨床への応用を考えた時に現実的ではないため、一重項酸素の生成を確認できた光増感剤をターゲットに変更し研究を進めた。ポルフィリン環を有する化合物A、B、Cに関して、中心金属X、Yを配位させたのちに放射線を照射し、一重項酸素を測定した。その結果、X線に反応しやすい化合物の傾向が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダイヤモンドNVセンタに対する放射線照射で有意な結果は得られなかったものの、検証すべきことは検証できた。一重項酸素の生成を確認できた光増感剤をターゲットに変更し研究を進めることができた。X線に反応しやすい化合物の傾向が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
優位な結果が得られている化合物に関して、clonogenic assayやin vivoでの効果を確かめるための実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していたNVダイヤモンドから光増感剤へとターゲットを変えたことで、光増感剤の中でX線と反応する化合物のスクリーニングを行う必要が生じた。その際に、想定よりも少ない額での実験が可能であったため、次年度に使用額が生じた。次年度では、細胞実験や動物実験、またそれらの成果を発表するための学会費用に予算を使用する予定である。
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