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2023 年度 実施状況報告書

構造最適化による高性能PET用脳内HDAC6プローブの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07682
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

多胡 哲郎  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50780649)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード放射性医薬品 / 核医学 / PET / HDAC6
研究実績の概要

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)タンパク質ファミリーに属するHDAC6は、そのユビキチン結合能や細胞質における局在から、特徴的なアイソフォームであると認識されている。病理学的な研究から、HDAC6とアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患とのかかわりが明らかとなっており、HDAC6はこれらの疾患の治療標的として注目されている。本研究では陽電子断層撮像法(PET)用による脳内HDAC6イメージングのための放射性プローブ開発を目的としている。
本年度は有望な脳内HDAC6プローブとして見出された18F-標識テトラヒドロキノリン誘導体([18F]FSW-100)について、臨床研究に向けた安全性試験やサルPET試験を実施した。[18F]FSW-100注射液の3ロット製造試験を実施した結果、すべてのロットで品質が設定した規格に適合することを確認した。非標識FSW-100と[18F]FSW-100注射液について、ラットにおける単回投与毒性試験ではいずれも毒性兆候は認められなかった。非標識FSW-100はAmes試験において、変異原性を示さなかった。[18F]FSW-100をヒトに投与した際の被ばく線量を、マウスの体内分布試験結果からMIRD法により推定したところ、全身の実効線量は17.0 μSv/MBq(排尿無し)であり、臨床研究を実施する上で許容範囲内であると示された。覚醒下サルにおける[18F]FSW-100 PET試験の結果、脳内に放射能の高い集積が認められた。またHDAC6阻害剤投与条件下では脳内集積が大きく低下したことから、この集積は特異的結合を反映したものであると示唆された。以上の結果から、[18F]FSW-100はPET用HDAC6イメージングプローブとして高い臨床的有用性を有すると示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画の目的はPET用脳内HDAC6イメージングプローブの開発である。昨年度の研究においては、性能向上を目的に構造最適化したプローブを合成したが、脳移行性に乏しいことが明らかとなっていた。そこで先行して見い出されていた化合物[18F]FSW-100がよりHDAC6プローブとして有望であると結論付けられ、本年度は臨床研究に向けた有用性評価を実施した。[18F]FSW-100は臨床研究を実施するために必要な評価をほぼ終え、現在当センターにおける倫理委員会への申請手続き等を進めている。以上の結果から、本研究計画はおおむね順調に進行していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は[18F]FSW-100について、サルの脳切片を使用したHDAC6結合性評価や、他のHDAC6プローブとの比較評価など、本プローブの臨床的有用性を裏付ける基礎研究を継続していく。また当センターにおける本プローブのファーストインヒューマン試験を実施するための必要手続きを進める。

次年度使用額が生じた理由

マウスの脳切片や病理標本切片を使用した評価が遅れているため、次年度使用額は免疫染色等に必要な試薬の購入に充てる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Preclinical validation of a novel brain-penetrant PET ligand for visualization of histone deacetylase 6: a potential imaging target for neurodegenerative diseases2024

    • 著者名/発表者名
      Tago Tetsuro、Sakata Muneyuki、Kanazawa Masakatsu、Yamamoto Shigeyuki、Ishii Kenji、Toyohara Jun
    • 雑誌名

      European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00259-024-06666-1

    • 査読あり
  • [学会発表] Visualization of histone deacetylase 6 expression in the conscious monkey brain: preliminary PET study with [18F]FSW-1002024

    • 著者名/発表者名
      Tetsuro Tago, Muneyuki Sakata, Masakatsu Kanazawa, Shigeyuki Yamamoto, Jun Toyohara
    • 学会等名
      19th European Molecular Imaging Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Optimization of the automated radiosynthesis of an 18F-labeled tetrahydroquinoline derivative for brain HDAC6 imaging.2023

    • 著者名/発表者名
      Tetsuro Tago, Jun Toyohara, Kenji Ishii
    • 学会等名
      The 25th International Symposium on Radiopharmaceutical Sciences
    • 国際学会
  • [学会発表] PET用HDAC6プローブ[11C]Bavarostatの標識合成2023

    • 著者名/発表者名
      多胡哲郎、豊原潤、石井賢二
    • 学会等名
      第17回日本分子イメージング学会総会・学術集会
  • [学会発表] 神経変性疾患を標的としたPET用薬剤開発2023

    • 著者名/発表者名
      多胡哲郎
    • 学会等名
      第192回東京医科大学医学会総会
  • [学会発表] PET用HDAC6プローブ[18F]FSW-100の被ばく線量推定と毒性試験2023

    • 著者名/発表者名
      多胡哲郎,坂田宗之,豊原潤
    • 学会等名
      第63回日本核医学会学術総会

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公開日: 2024-12-25  

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