研究課題/領域番号 |
22K07684
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
星合 壮大 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50740362)
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研究分担者 |
入江 敏之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40302418)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / TACE |
研究実績の概要 |
肝細胞癌に対する治療は、近年の免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬の登場や進歩により変化しつつある。従来の肝動脈化学塞栓術TACEは優れた治療法であるが、TACEの施行に伴って肝機能が悪化することが問題点であった。肝機能の低下は免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬による治療の妨げになるだけでなく、患者の生活の質を低下させる可能性ある。本研究では、バルーン閉塞下にシスプラチン水溶液と破砕ゼラチン粒子を用いて、これを交互に注入することにより、治療効果が高く、肝機能も低下させない新たなTACE(BOAI-TACE)を開発した。従来はTACEの適応と考えられていた肝細胞癌のうち、特にup-to-7 out(肝細胞癌の最大径をセンチメートルで表記した値と腫瘍の個数の和が7以上)と呼ばれる状態の肝細胞癌では、TACEによる治療成績も悪く、肝機能の低下も起こしやすいので、近年ではTACEは最適な治療法ではないとする報告もある。本研究では、Child-Pugh分類がAで、Up-to-7 outの肝細胞癌に対してBOAI-TACEを適用して、治療成績と肝機能低下の有無を検討した。18名の患者に対して、BOAI-TACEを行った結果、奏効率は77.8%(90%信頼区間 54.3-91.5%)であった。また治療後2ヶ月の評価で、肝機能がChild-Pugh分類のAからBに悪化した症例は認められなかった。本研究で開発したBOAI-TACEは多発あるいは巨大肝細胞癌に対しても、肝機能の低下を伴うことなく良好な治療効果を得ることが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「従来の肝動脈塞栓術では治療困難とされるup to 7 out肝細胞癌に対するシスプラチン溶液と破砕ジェルパートを用いたバルーン閉塞下動脈塞栓術の有効性試験」と題する特定臨床研究を進めてきて、試験は終了した。18名の患者に対して、BOAI-TACEを行った結果、奏効率は77.8%(90%信頼区間 54.3-91.5%)であった。また治療後2ヶ月の評価で、有意な肝機能の低下は認められなかった。本研究で開発したBOAI-TACEは多発あるいは巨大肝細胞癌に対しても、肝機能の低下を伴うことなく良好な治療効果を得ることが可能である。これらの結果について、日本医学放射線学会総会にて発表を行った。今後は、これに関する結果を論文にて発表する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、「従来の肝動脈塞栓術では治療困難とされるup to 7 out肝細胞癌に対するシスプラチン溶液と破砕ジェルパートを用いたバルーン閉塞下動脈塞栓術BOAI-TACEの有効性試験」を行った。その結果は良好で、肝細胞癌に対する治療効果も良好で、肝機能の低下も認められなかった。今後は、より大規模な検討を進めていくと同時に、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬と組み合わせたシーケンシャル治療方法について、臨床試験を計画して、進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品に要する費用が予定よりもやや少なくなったため。 次年度では論文を投稿するので、オープンアクセスにする費用にしたい。
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