研究課題/領域番号 |
22K07692
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩野 信吾 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90335034)
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研究分担者 |
伊藤 倫太郎 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (80813336)
神谷 晋一朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60868305)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 超高精細CT撮影 / 原発性肺癌 / 人工知能 |
研究実績の概要 |
本研究においては、肺癌の経過観察症例の3次元CT画像のビッグデータを学習させた人工知能(AI)によって超早期肺癌から進行肺癌に至るまでの形態変化に時間を加味した4次元解析を行えるモデルを構築することであり、4年間の研究期間を設定している。 初年度にあたる2022年度は先行研究として開発済みのvirtual HRCTに関する英文の原著論文を投稿し、現在査読中である。 またこのvirtual HRCTのさらなる高解像度化を行った。名古屋大学医学部附属病院には2019年よりスライス厚0.25mm、最大2048マトリックスで撮影できる臨床用の超高精細CTが導入されており、原発性肺癌の超高精細CTを収集した。この超高精細CT画像データをAIに学習させることによってvirtual HRCTのさらなる性能向上が期待でき、よりリアルな高精細画像を生成することが可能になると考えられる。これに関連して原発性肺癌の超高精細CTによる深達度の研究を開始した。胸壁浸潤が疑われた原発性肺癌77症例について、その超高精細CT画像を視覚的に評価し、胸壁浸潤の診断に有用な所見を見いだし、2023年4月の日本医学放射線学会で発表予定である。 さらに2006年~2021年に名古屋大学医学部附属病院で撮影された肺結節のCT画像のうち、経時的に2回以上撮影されている画像をPACSサーバー付属の検索機能を使って後向きに収集した。収集された画像のうち、5mm厚の画像はvirtual HRCTを用いて高解像度3D画像に変換し、学習データとして使用予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では1000例規模の原発性肺癌の高精細3次元CT画像データベースを作成する予定であり、過去の5mm厚画像から高精細CT画像を生成するAIの開発は終了しており、論文投稿中である。本データベースを使用し、経時画像から過去および未来画像を生成するAIを開発中であり、本年度中に完成の見込みである。 また超高精細CT画像により肺癌の深達度を正確に診断できることを証明し、本研究成果は 日本医学放射線学会総会で発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度からは、収集した2006年-2021年の肺結節の経時画像CTのセットをDeep Learningによって学習させ、virtual過去・未来画像AIの完成を目指す。それと並行して、過去・未来画像AIの性能評価のための2022年以降の肺結節の経時画像セットを検証データとして前向き収集する。また超高精細CTによる肺癌の深達度についても英語の原著論文を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、国内外の学会が軒並み中止あるいはWeb開催に変更されたため、学会参加費や旅費が予定より大幅に減額された。2023年に入ってから新型コロナウイルスの流行が沈静化しつつあるので、国際学会を含めた各種学会への参加と発表を精力的に行う予定である。また論文執筆を精力的に行い、論文のオープンアクセス化費用に充当するつもりである。
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