研究課題/領域番号 |
22K07694
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 豊 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (40353461)
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研究分担者 |
武島 嗣英 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 主幹研究員 (10360950)
西尾 禎治 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40415526)
小泉 雅彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90186594)
皆巳 和賢 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90634593)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線 / 腫瘍免疫 / 免疫微小環境 / アブスコパル効果 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに、難治性腫瘍である骨肉腫、膵管癌を対象に、両脚皮下移植マウスモデルを用いた免疫チェックポイント阻害剤 (ICI)と放射線(X線、または炭素線)との併用効果を研究してきた。そしてICI単独では効果が希薄でも、高線量の単回、または寡分割照射と同時併用することで、局所制御のみならず遠隔転移制御(アブスコパル効果)にも寄与し、それが免疫介在性であることを明らかにしてきた。本申請課題では同所移植マウスモデルを用い、これまでの皮下移植モデルよりも臨床に近い状況、すなわち、がん関連線維芽細胞(間質)や治療による線維化が再現される腫瘍免疫環境変化に焦点を当て、X線及び重粒子線とICIの併用による効果的な遠隔転移制御を目指した最適な併用指標を解明し、新たな治療戦略の提供を目指すものである。今年度は、①同所移植モデルで放射線の照射された腫瘍及びアブスコパル腫瘍の増殖を定量的に解析するためにルシフェラーゼを遺伝子導入した細胞株の放射線感受性等が野生株と同等であることを評価すること、②対照として、皮下移植モデルによる炭素線照射による局所及びアブスコパル効果の解析を行った。①については、予想に反して、私たちがこれまでアブスコパル効果の研究に使用してきた野生株と、放射線感受性が異なるなどの問題点が明らかになり、実験計画の変更の必要性が生じた。炭素線照射については、X線に比べ、より低い線量でも腫瘍免疫の活性とともに、強い局所効果とアブスコパル効果が得られることが明らかになった。次年度は、野生株を用い、同所移植モデルによる研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
同所移植のために樹立したLnciferaseを遺伝子導入した骨肉腫細胞株(LM8-Luc)と、これまでに私たちが腫瘍免疫関連研究で使用してきた野生株(LM8-WT)で全く異なる放射線感受性を有していることが判明した。また、大阪大学の動物実験施設の改修工事のSPFのレベル等により、当初予定していた蛍光イメージングが実質的に取得できなくなった。このような想定外の事態のため、実験計画の練り直しが必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
同所移植のために樹立したLnciferaseを遺伝子導入した骨肉腫細胞株(LM8-Luc)と、これまでに私たちが腫瘍免疫関連研究で使用してきた野生株(LM8-WT)で全く異なる放射線感受性を有していることが判明した。また、大阪大学の動物実験施設の改修工事のSPFのレベル等により、当初予定していた蛍光イメージングが実質的に取得できなくなった。したがって、野生株を使用する。この場合も、骨肉腫、トリプルネガティブ乳癌など、蛍光イメージングを取得することなく同所移植の局所及びアブスコパル効果は十分評価可能とであり、そのような観点から研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者の分担金であったが、新型コロナウィルスの影響により学会参加を断念したため。
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