研究課題/領域番号 |
22K07713
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
金光 祥臣 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30752943)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線耐性細胞 / プロテオミクス / トランスオミクス / メタボロミクス |
研究実績の概要 |
本研究は、樹立した放射線耐性細胞株及び経時的照射によって耐性能を進展させた段階的な親細胞株に対し、プロテオミクスとメタボロミクス技術を中心とする定量トランスオミクスプラットフォームを適応し、がん細胞の放射線応答ネットワークの実体解明を目指している。また、このネットワークに対する介入実験により、がん細胞の放射線耐性能獲得における脆弱性を見つけ出し、分子メカニズムに基づく、バイオマーカーや創薬標的分子の創出を目的とする。 今年度は、フェノタイプ解析(薬剤感受性比較、細胞内酸化ストレス濃度比較、γH2AX免疫染色によるDNA修復応答比較)とトランスオミクス解析の基盤となるプロテオーム解析やメタボローム解析を行った。特に Data Independent Acquisition (DIA) プロテオーム解析に注力し、通常状態の解析やリン酸化プロテオーム解析に加えて、放射線照射後の応答プロテオーム変動の違いに着目したところ、耐性細胞株は、DNA 修復因子や p53 シグナルに関連するタンパク質の変動がより顕著であることが明らかとなった。さらに、アミノ酸・有機酸のメタボローム解析によって、耐性細胞ではオンコメタボライトとして知られるコハク酸の細胞内濃度が顕著に増加していることとその周辺プロテオームは合理的な変化を呈していることが示唆できた。特に HIF-1α 下流やフマル酸呼吸、プロリン代謝亢進などの関与が示唆できており、さらなる検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロテオームやメタボロームデータは計画通り取得できており、解析を進めている。 トランスクリプトームデータは未取得であり、放射線応答に関わる分子ネットワーク解析は未着手であるため。
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今後の研究の推進方策 |
放射線照射後の応答性プロテオーム変化に加え、メタボローム、トランスクリプトームデータを取得し耐性がん細胞の放射線応答ネットワークの実体解明を目指す。このネットワークに対する介入実験により、がん細胞の放射線耐性過程における脆弱性を見つけ出し、分子メカニズムに基づく、新たなバイオマーカーや創薬標的分子を創出研究に繋げる。 また、様々な薬剤・化合物の感受性スクリーニングを行い、代謝応答システムの理解を深め、耐性機序の解明や新規治療方法の考案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
高額なトランスクリプトーム解析に着手できなかったため、次年度に使用する予定である。 また、当初予定していた絶対定量プロテオミクス技術である iMPAQT 法ではなく、Data Independent Acquisition (DIA) プロテオーム解析を中心に行ったため予算を抑えることができたが、今後、着目する代謝システムを深く追求するためには、 iMPAQT 法が必要となり、そのための予算として使用する。
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