研究実績の概要 |
本年度は141Ceと1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)との薬剤標識の検討を行った。141Ceを酢酸アンモニウム水溶液に溶解し、アスコルビン酸ナトリウム、DOTA水溶液を添加してサンプルチューブ内で混合し、ドライバスインキュベーターを用いて80°Cに加熱した。加熱開始から20 minごとにサンプルを約1 μL分取して薄層クロマトグラフィー(TLC)による分析を行い、加熱後120 minまでの141CeのDOTAへの標識率を算出した。TLCプレートにはシリカゲルを使用し、展開溶媒をメタノール:50 mM エチレンジアミン-N,N,N',N'-四酢酸二ナトリウム塩水溶液 = 1:4とした。展開後のTLCプレートをイメージングプレートに露光して画像化した。このTLC条件では、未標識の141CeはRf値 0.6付近に観測されることが分かった。一方、141Ce-DOTA標識実験サンプルでは、Rf値 0.35付近にシグナルが観測された。標識操作後の14Ceのシグナルが未標識141Ceと異なる位置で観測されたことから、このシグナルがDOTA標識体であると考えられ、141CeがDOTAに標識されたことを確認した。80°C加熱開始後20 minごとにTLCにより標識率を測定した結果から、加熱開始から標識率が上がっていき、40-60 min程度で標識率約93%で一定となることが分かった。今回の標識条件は225Acの標識条件を元にしており、141Ceがおおよそ225Acと同様の条件で標識できることが確認された。今後さらに他の薬剤への141Ceの標識の検討を進めていく。
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