研究課題/領域番号 |
22K07733
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
立野 沙織 近畿大学, 医学部, 助教 (50881463)
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研究分担者 |
土井 啓至 近畿大学, 医学部, 講師 (50529047)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肺癌 / 放射線肺臓炎 |
研究実績の概要 |
これまでに放射線肺臓炎の動物実験モデル作成のために、マウスの照射実験を行った。8週齢雄性C57BL/6Jマウスの胸部に20Gy単回照射を行い、約16週時点で放射線肺臓炎が発生することを確認した。また、同様に8週齢雄性C57BL/6Jマウスに対して胸部に20Gy単回照射後、正常肺組織のアポトーシスは12時間後以降は減衰することを確認している。 得られたデータから、当該年度は実際の放射線防護剤を用いて放射線防護作用の検証のための動物実験を行った。まずは予備実験において8週齢雄性C57BL/6Jのマウスに15Gy単回の全身照射後3.5日で腸管幹細胞生存数の定量評価を行った。放射線照射の前後投薬群と後のみの投薬群で無投薬群より有意に腸管幹細胞の生存を認めた。PFDが放射線防護効果をもつこと、放射線照射の前後の投与で効果が最大化すること、放射線照射後の投薬が有効であることが示唆された。現在、放射線照射後の細胞死およびDNA損傷と回復を定量評価することで急性期放射線腸管傷害に関して、PFDの正常腸管に対する放射線防護効果を検証中である。8週齢雄性C57BL/6JマウスをPFD投与群と無投薬コントロール群に群別し、PFDを懸濁液として300 mg/kgを放射線照射の6時間前に投与し、放射線照射後も連日投与する。15Gy単回の全身照射後0~60時間の経過観察期間の後にそれぞれ5匹を安楽死させ、摘出した腸管をTerminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling (TUNEL) アッセイ、γH2AXでの免疫染色することで細胞死とDNA損傷を定量的に評価し、PFDの放射線防護効果を確認する。現在データを収集、解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は主に放射線防護作用の検証のための投薬実験を行い、その有効性が示唆されている。進歩状況は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は胸部照射における放射線防護作用の検証のための投薬実験を行い、得られたデータを収集、解析して放射線防護剤が放射線肺臓炎を低減できるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は放射線防護剤の投薬実験による検証を行い、研究成果を発表、論文化する予定であったが、現状思うような結果は得られず、未使用額が生じた。今後実験を追加し、得られたデータを収集解析して研修成果を発表、論文化する予定である。
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