研究課題/領域番号 |
22K07742
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
土屋 純一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (30815527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | FAZA / PET / 低酸素 / 大型血管炎 |
研究実績の概要 |
低酸素環境を検出することができる[18-F]FAZA PETによる大動脈炎の評価体系を目指し、症例の追加とデータ解析を目指し、研究を進めた。まずはこれまで蓄積した15例の高安動脈炎の[18-F]FAZA PET画像を詳細に解析した。これまで血管壁への[18-F]FAZA集積は詳細な評価がされていなかったため、そもそも集積するのか、集積評価方法としてどのようなものが適切かどうか、を中心に評価を行った。条件に関しては文献で報告されている3.7MBq/kgと投与後120分の撮像で、バックグランドは抑制され、良好な画像を得ることができた。病変に関しては視覚的評価では血管壁の集積は[18-F]FDG PETで活動性が見られる症例の一部で確認された。大動脈炎の[18-F]FDG PET検査の性質上、治療効果判定や再燃の可能性の際の検査が多く、[18-F]FDG PETで活動性が確認されるものが3例にとどまり、他は軽度の集積が疑われるのにとどまった。日常臨床で活動性評価に利用されている[18-F]FDG PETでの大動脈炎の評価では肝臓、縦隔血液プールを基準とした視覚的評価で基本的に行うが、もともと全体的に集積の弱い[18-F]FAZA PETを視覚的評価のみで行うことは難しく、 [18-F]FDG PETでも広く用いられる指標であるSUVmaxのみでも情報は少なく、肝集積や血液プールの集積を用いた半定量的評価が必要であると考えられた。活動性のある症例を追加して、予後との関連性を臨床情報のフォローで明らかにしていく。また、1例、大動脈に対してステントグラフトが留置されている症例があり、[18-F]FAZAの集積は見られなかった。[18-F]FDG PETでは術後長い期間に渡り、グラフトの集積は残存することがあり、グラフト周囲の炎症の評価には有用な可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
活動性のある大型血管炎の症例をリクルートするように努めたが、症例を追加することができなかった。これには次のような理由が考えられた。第1に活動性炎症が確認できる症例がそもそも少なかった。これに加え、患者様の予定と合わない、同意が得られないなどの条件が重なった。施設としてもちょうどFAZAの合成がうまくいかないこともあった。これらの条件を解決し、次年度は症例の追加を早急に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前提のFAZA PETでの血管炎の評価に関しては症例の追加を早急に行う。本年度の経験を生かし、担当医との連絡を密に行い、患者様のリクルートをより円滑にする。施設側の問題は技術者の調整などで合成は安定させることができた。全体で30例などのより詳細な評価が可能になる症例数に達ししだい、画像の評価方法を確立する。臨床的な経過も明らかとなるため、集積と治療反応性の関係などの評価も行っていく。これらの結果を学会や論文などに発表していく。 症例が蓄積された時点で、FDG PETの画像も使用し、FAZAのAI診断に関するネットワークを技術者とともに作成を試みる。FDGのときと違い、集積が淡いため、意味のある集積を検出できるように工夫しながら進める。 実験動物を利用したFAZA集積の組織学的な評価に関しては、当施設のPET装置導入が見送られたこともあり、協力施設の調整を行い、可能になり次第、行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた活動性炎症のある症例の追加が困難であった。これを次年度に持ち越すため、使用額が生じた。症例の追加を計画的に行い、データの蓄積を行うことで、AI関連技術者への依頼などを円滑に行うことができる。報告にも記載したが、薬剤の合成などは安定してきており、準備はできていると考えられる。基礎的な解析にも時間がかかったが、これまでの解析は1年で進んだため、preliminaryな報告も予定している。
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