研究課題/領域番号 |
22K07743
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
宮地 利明 金沢大学, 保健学系, 教授 (80324086)
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研究分担者 |
小林 聡 金沢大学, 保健学系, 教授 (30313638)
間瀬 光人 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (60238920)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 磁気共鳴画像(MRI) / 拡散係数定 / 定量解析 / 周期運動 / 組織物性 |
研究実績の概要 |
本研究では,人体組織の血管拍動や呼吸等の周期運動が磁気共鳴イメージング(MRI)で測定する拡散係数を変動させる作用を解析して,真の拡散係数の絶対定量を行うと同時にこの周期運動の拡散係数への作用を定量化する手法「拡散変動MRI定量法」を開発し,拡散変動MRI定量法によって取得した人体組織の真の拡散係数,水分子揺動量,脳血流量,組織物性等の定量値を画像診断に役立てることを目的としている.令和4年度は,拡散変動MRI定量法の撮像条件の中で最も定量精度に関与することが予想される撮像加算回数(NSA)を大脳白質において検証した.なぜなら,拡散係数の変動に相当する見かけの拡散係数(ADC)の心周期最大変化量(ΔADC)がランダム性すなわち非周期成分も有していることが想定されるため,NSAがΔADC測定値に影響する可能性があるからである.その結果,NSAが1の場合のΔADCは,NSAが2の場合と比較して有意に大きかった(P<0.05).また心周期ADC変化波形を周波数解析した結果,第3,6,7高調波において有意差が認められた(P<0.05).さらにNSAが1の場合の第1~第7高調波までの平均振幅は,NSAが2の場合よりも有意に大きかった.これらから脳の心周期ADC変化波形に非周期成分が存在するためにNSAを1に設定した方がΔADC測定感度は高くなり,NSAを1に設定すると周波数成分全般においてADCの振幅は増加することが判明した.よって拡散変動MRI定量解析を実施する場合は,NSAを1に設定することが望ましいと結論付けた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の交付申請時に提出した以下の目的の中で,真の拡散係数の絶対定量を行うと同時にこの周期運動の拡散係数への作用を定量化する手法「拡散変動MRI定量法」を実現するために撮像条件に関して一定の成果を出したため.
目的:人体組織の血管拍動や呼吸等の周期運動がMRIで測定する拡散係数を変動させる作用を解析して,真の拡散係数の絶対定量を行うと同時にこの周期運動の拡散係数への作用を定量化する手法「拡散変動MRI定量法」を開発し,拡散変動MRI定量法によって取得した人体組織の真の拡散係数,水分子揺動量,脳血流量,組織物性等の定量値を画像診断に役立てる.
また次年度以降の研究の準備を整えることができたこともその理由としてあげられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,拡散変動MRI定量法を開発して臨床検討しながら本手法を確立するために,以下の研究を遂行する. 1.拡散変動MRI定量法の開発及びシステム化とファントム実験による検証 2.健常ボランティアにおける検証と臨床評価 以上の成果が出しだい学術集会及び論文報告しながら臨床用の拡散変動MRI定量法を確立する.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度中に本研究課題の成果を二つの国際学会に赴いて発表する予定であったが,新型コロナウィルス感染拡大による渡航制限のために旅費等に未使用額が生じた. 令和5年度の使用計画として,国際学会における成果発表に使用する予定である.
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備考 |
http://miyatilab.w3.kanazawa-u.ac.jp/publications/index.htm
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