研究課題/領域番号 |
22K07748
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西淵 いくの 広島大学, 病院(医), 講師 (70595834)
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研究分担者 |
村上 祐司 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (10403528)
河原 大輔 広島大学, 病院(医), 助教 (20630461)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高齢者 / 食道癌 / 頭頸部癌 / 放射線治療 / 人工知能 |
研究実績の概要 |
高齢がん患者は、加齢に伴う臓器機能や身体機能、認知機能の低下に加え、併存疾患や社会・経済的な問題など多様で複雑な背景を有しており、非高齢がん患者と同様の治療戦略を取ることが困難な場合も多い。しかしながら、現在確立されている標準治療のエビデンスは非高齢者を対象とした臨床試験から得られており、高齢がん患者に対する治療方針選択におけるエビデンスは極めて乏しい。 本研究では治療前の臨床データ、Radiomicsの手法を用いて得られた画像データの特徴量、治療情報と治療後の有害事象および治療効果データを機械学習させ、個々の高齢がん患者に対して最適な治療方針を予測するシステムの開発を行うことを目的としている。 初年度は、根治的放射線療法を行った65歳以上の食道癌患者を対象とし予後予測モデルの構築を行った。Radiomics解析には、放射線治療前のCTおよびPETを用い、放射線治療計画のデータも解析に加えた。予後予測モデルとして、臨床因子を用いたclinical model、画像特徴量を用いたradiomics model、両者を用いたcombined modelを作成した。その結果、combined modelの予測精度が最も高い結果となり、画像特徴量を予測モデルに用いることが有用である可能性が示唆された。一方で、高齢者は加齢に伴う筋力・筋量および身体機能の低下も予後に関連することが知られており、サルコペニアと呼吸機能を反映する骨格筋および肺も解析対象に加えた予測モデルを作成中である。また、治療強度自体も患者毎に異なっており、治療強度の違いが予後に影響を与えている可能性もあるため、化学療法および放射線治療の情報も加えた予測モデルを作成する予定である。 同様の解析を頭頸部癌でも行うために、現在、各種データの収集を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食道癌に関してはおおむね当初の計画通り進捗しているが、頭頸部癌に関しては、現在、データを収集している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画では単施設のデータをもとに予測モデルを構築する予定としていたが、現在、radiomicsによる予測モデルの構築は、単施設のデータではなく複数施設のデータを用いて作成することが主流となりつつある。 したがって、本研究においても多施設のデータをもとに予測モデルを再構築することを検討している。ただし、その場合、取り扱うデータ量が増加するため、当初予定していた食道癌および頭頸部癌両者のデータ解析を研究期間内に行うことが困難となる可能性がある。そのため、進捗状況によっては食道癌に絞って、多施設データを用いた予測モデル構築を行うことも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦の影響もあり、国際学会などがオンライン参加となった。また、半導体不足の影響もあり、購入予定のコンピュータの購入が困難であった。 次年度は、各種学会に現地参加することを想定している。また、購入を見送ったコンピュータなどの各種物品を購入予定である。
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