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2022 年度 実施状況報告書

がん放射線治療の耐性獲得における分子細胞機構解明と克服戦略

研究課題

研究課題/領域番号 22K07749
研究機関長崎大学

研究代表者

浦田 芳重  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 特任研究員 (30185087)

研究分担者 後藤 信治  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (50186889)
李 桃生  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50379997)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード放射線治療抵抗性 / エクソソーム
研究実績の概要

マウス大腿部皮下にルイス肺癌細胞を注入し、成長してきた腫瘍組織から癌関連線維芽細胞(CAF)を単離・培養増幅し、以下の実験を行った。
CAFはそれぞれ0、1、5 GyのX線で照射した48時間後に、培養上清を収集し、エクソソームを精製・採取した。精製・採取したエクソソームはウエスタンブロット法によるCD63の発現で、その純度を確認できた。また、精製・採集したCAF由来エクソソームをヒトHCT8大腸癌細胞およびヒトMCF7乳癌細胞に添加培養を行い、培養後3日目に癌細胞を2 GyのX線に曝し、細胞生存、DNA損傷、およびコロニー形成能により放射線感受性を定量評価した。
これまでの実験結果から、培養上清から採取できたCAF由来エクソソームは、その量と純度に大差がなかった。また、対象群(0 Gy)と比べ、1 Gyと5 GyのX線で照射したCAF由来エクソソームの添加培養は、HCT8大腸癌細胞およびMCF7乳癌細胞の形態に明らかな変化が観察できず、細胞の生存率にも有意な影響を及ぼさなかった。しかし、2 Gy追加照射後のHCT8大腸癌細胞およびMCF7乳癌細胞は、1 Gyで照射したCAF由来エクソソームの添加培養では5 Gyで照射したCAF由来エクソソームの添加培養より、コロニー形成数が有意に高値であり、DNA傷害の程度(gamaH2Ax染色)も明らかに少なかった。これらの結果から、1 Gyで照射したCAF由来エクソソームは、癌細胞の放射線耐性を誘導することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年度内に計画していた実験は、ほぼ予定通りで実施できた。また、これまでの結果から、より低めの線量(1Gy)で照射したCAFから放出されるエクソソームは、癌細胞の放射線耐性を誘導することが示唆された。

今後の研究の推進方策

これまでの結果に基づき、癌細胞の放射線耐性を誘導する潜在的分子および関連シグナルを標的とした介入治療を行い、in vitro実験で癌細胞の放射線耐性誘導への軽減効果を確かめた後、最終的には担癌マウスを用いて悪性腫瘍の放射線治療獲得耐性に対する阻止・緩和効果を調べる。

次年度使用額が生じた理由

他の研究のため、既に購入した癌細胞や抗体などの試薬を用いることが可能でしたので、次年度使用が生じた。
繰越金は次年度に実施するmRNAやmiRNA発現解析費用に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] The potential effect of nicaraven in the acquired radioresistance of cancer cells2022

    • 著者名/発表者名
      Kai Huang, Tao-Sheng Li
    • 学会等名
      第65回日本放射線影響学会

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公開日: 2023-12-25  

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