研究課題/領域番号 |
22K07792
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宇都宮 悟 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50570868)
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研究分担者 |
近藤 世範 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10334658)
中野 永 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (20839229)
棚邊 哲史 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80743898)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | VMAT / radiomics / QA / MLC / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、delta-radiomicsの手法を応用して機械学習モデルを構築することにより、臨床的インパクトを考慮したVMATの患者個別QAシステムを開発することである。この目的を達成するために、令和5年度に行った研究活動は、主に(1)EPIDを用いて測定するX線フルエンス分布の取得、(2) DVHパラメータの変化量を予測する機械学習モデルの構築である。下記に、それぞれの詳細を記載する。 (1) 過去に新潟大学医歯学総合病院で前立腺癌に対する強度変調回転照射(VMAT)が行われた30症例(60プラン)の治療プランデータを取得し、それらの積算フルエンス分布画像を取得した。当初の研究計画ではファントム中の線量分布を取得する予定であったが、より簡便に測定できる積算フルエンス分布画像を基にモデルを作成した方が研究のインパクトが大きいと考え、それらを取得することに方針を変更した。 (2) (1)で取得した治療プランに系統的なMLC位置エラーを付与したものを作成した。次に、エラー無し・エラー有しの両治療プランの積算フルエンス分布画像のradiomics特徴量を計算した。また、エラー無し・エラー有しの両治療プランの線量体積ヒストグラム(DVH)パラメータを取得した。Radiomics特徴量の変化率(delta-radiomics特徴量)から、DVHパラメータの変化を予測する機械学習モデルを作成し、高いの精度が得られたことを確認した。 今後の課題は、腫瘍制御確率(TCP)及び正常組織障害発生確率(NTCP)の変化率を予測する機械学習モデルを作成して精度を確認すること、系統的なMLC位置エラー以外のエラー(偶発的なMLC位置エラー、MU値のエラー、MLC透過線量率(TF)、など)が発生した場合にTCP/NTCPの変化率を予測する機械学習モデルを作成して精度を確認すること、などがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進める上で支障となる事象は発生しておらず、研究は概ね順調に進展していると言える。当初の研究計画ではファントム中の線量分布を取得する予定であったが、積算フルエンス分布画像を取得することに方針を変更した。これは、積算フルエンス分布を測定する方が簡易的であるため、医療現場での大きな負担が無く取得できるため、本研究が開発を目指している「臨床的インパクトを考慮したVMATの患者個別QAシステム」の利便性を高めるものであるため、研究成果の価値を高めることを目指した積極的な方針変更であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」にも大まかに記載した通り、今後取り組むべき主な課題は、腫瘍制御確率(TCP)及び正常組織障害発生確率(NTCP)の変化率を予測する機械学習モデルを作成して精度を確認すること、系統的なMLC位置エラー以外のエラー(偶発的なMLC位置エラー、MU値のエラー、MLC透過線量率(TF)、など)が発生した場合にTCP/NTCPの変化率を予測する機械学習モデルを作成して精度を確認すること、などである。 TCP/NTCPを計算するPythonコード(DVHのデータを入力とする)は既に準備してあり、作業に取り掛かれる状態にある(令和6年6月頃までには完了させる予定である)。偶発的なMLC位置エラーとMU値のエラーを含む治療プランを作成するMatlabコードも既に準備してあり、作業に取り掛かれる状態にある(令和6年6月頃までには完了させる予定である)。MLC透過線量率(TF)エラーを治療プランに反映させるためには、治療計画装置の設定値を変更した上で治療プランを再作成する必要があり、数か月の時間を要するが、令和6年9月頃までには完了させる予定である。その後、令和6年度中に、臨床的インパクトを考慮したVMATの患者個別QAシステムを完成させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度に使用した学会発表のための旅費が当初の想定より少額だったため次年度使用額となった。具体的には、日本放射線腫瘍学会第36回学術大会(令和5年11月30日~12月2日)が遠隔地ではなく横浜市で開催されたこと等による。本助成金は、次年度に本研究成果の公表を目的とした学会発表(国内学会)のための旅費として使用する予定である。
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