研究課題/領域番号 |
22K07793
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松原 孝祐 金沢大学, 保健学系, 教授 (30507372)
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研究分担者 |
藤淵 俊王 九州大学, 医学研究院, 教授 (20375843)
市川 尚 神戸常盤大学, 保健科学部, 助教 (00902371)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線防護眼鏡 / 被ばく線量 / 水晶体 / 内視鏡 / 線量計 |
研究実績の概要 |
内視鏡医の水晶体被ばく低減とその測定精度を向上させるための放射線防護眼鏡に必要な条件の評価を進めた。内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)を想定した配置で,鉛当量,シールド形状等が異なる既存の放射線防護眼鏡を使用して評価を行った。光刺激ルミネセンス(OSL)線量計を放射線防護眼鏡の側面と術者ファントムの眼表面に設置し,術者ファントムの向きを変えた際のそれぞれの位置の空気カーマを評価した。その結果,ERCP施行時の水晶体被ばく線量は,放射線防護眼鏡のシールド部分の下部および側面部の形状に大きく依存することを確認した。 また,既存の水晶体用線量計とOSL線量計を用いて,エネルギー特性,線量直線性,感度均一性,方向特性,およびERCPを想定した場合の線量値を評価した。その結果,エネルギー特性はOSL線量計よりも水晶体用線量計が優れており,線量直線性は両者ともに良好であった。水晶体用線量計10個の測定値の変動係数は3.5%,OSL線量計10個の測定値の変動係数は5.9%であった。水晶体用線量計とOSL線量計のいずれにおいても,X線の入射角度が大きくなるにつれて測定値が小さくなる傾向を認めたが,水晶体用線量計では90度において測定値が増加した。ERCPを想定した評価では,術者ファントムの向きが患者ファントムに対して垂直方向より右側に向かうにつれて,水晶体用線量計,OSL線量計の両者で測定値は小さくなり,水晶体用線量計では術者ファントムの向きが垂直方向に対して45度,60度の時に,測定値の標準偏差が大きくなった。 以上の結果より,ERCP等に従事する内視鏡医の放射線防護眼鏡に必要な条件,および既存の水晶体用線量計の有する特性を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内視鏡医の水晶体被ばく低減とその測定精度を向上させるための放射線防護眼鏡に必要な条件の評価および既存の水晶体用線量計の評価を進めており,予定していた項目はおおむね終了できていることから,おおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
内視鏡医の水晶体被ばく低減とその測定精度を向上させるための方策について,引き続き多角的に検討し,これらの条件を満たせる放射線防護眼鏡および水晶体用線量計はどのようなものかを明らかにしていくとともに,臨床現場での評価を行うための準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
評価項目の一部に次年度に持ち越したものがあるため,それに関連する次年度使用額が生じた。次年度使用額については,当該評価項目の実施のために使用する予定である。
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