研究課題/領域番号 |
22K07805
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
久慈 一英 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90283142)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 悪性腫瘍 / 臓器の糖代謝変化 / FDG-PET/CT |
研究実績の概要 |
研究計画を立て、IRBに食道癌と悪性リンパ腫で100例の研究申請を行って研究を開始した。 これまで34例でFDG-PET/CTと投与時の同時採血を行った。この内で術前食道癌患者18例の予備解析を行った。 目的は、食道癌患者の栄養状態や飢餓状態がFDG-PET集積分布変化に対する影響を検査実施時の同時採血で確認する研究である。方法は、食道癌術前治療前患者18例について、FDG投与時に同時採血(遊離脂肪酸、インスリン、グルコース、プレアルブミン、ケトン体、CRP等)を実施し、FDG集積度(腫瘍および主要臓器のSUVpeak)、検査前絶食時間、代謝的腫瘍体積(MTV)との相関を調べた。FDG-PET/CTに関しては、Dyamic収集によるKi、Vdの解析も加えている。CTにより、腹部解析による解析も行っている。結果は、肝集積にはプレアルブミン濃度(r=0.55、p=0.017)とグルコース濃度(r=0.50、p=0.034)が相関した。心筋集積では飢餓状態と関連する遊離脂肪酸濃度(r=0.50、p=0.034)、総ケトン体濃度(r=0.88、p<0.001)との間に相関が認められた。主要臓器のKiは、SUVと異なる相関を示す臓器もあり、新たな臨床的意義が得られる可能性があると考えている。これまでの結論として、食道癌患者において腫瘍に関連する栄養状態や飢餓状態の強さがFDG-PETの生理的集積変化に影響していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
30例以上で実施することができており、解析結果から新しい知見が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
悪性リンパ腫症例の症例数を増やすことを目的とする。治療前に行った患者にて、治療後にもう一度実施して、治療による変化を検討する。 この結果を基にして、さらに悪液質を対象にした検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施は順調に進んだが、予定よりも研究経費が少なく済んだため、若干の繰り越しが生じた。 予定通りに研究を継続するため、翌年度分の助成金と合わせて、患者データ追加、解析およびまとめを行い、学会や論文に発表する経費に使用する予定である。
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