研究課題/領域番号 |
22K07806
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
長尾 充展 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60533081)
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研究分担者 |
宇都 健太 日本大学, 医学部, 准教授 (80318071)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | FDG-PET / 心サルコイドーシス / 心室性不整脈 / ブドウ糖代謝率 |
研究実績の概要 |
心臓サルコイドーシス患者に対しての半導体PET装置を使ったFDG-PETダイナミック撮影プロトコールを新たに考案し、心臓サルコイドーシス患者100名程度に実施した。FDG-PETダイナミックデータをパラメトリック解析し、病変のぶどう糖代謝率及び従来のSUV値を投影したイメージを再構成することに成功している。2つの画像を比較したところ、心サルコイドーシス病変は、ぶどう糖代謝率画像で従来のSUV画像よりコントラストに優れ、輪郭が鮮明化された。病変の進展範囲の評価にはぶどう糖代謝率画像が有用であることが明らかになった。また心臓再同期療法やペースメーカ留置患者においては、病変部位の糖代謝率がそれらが未施行の患者に比べ有意に高かった。この結果から、房室ブロックや心室性不整脈などの重症不整脈患者において、病変部位の糖代謝率が亢進することが示唆される。さらに、ぶどう糖代謝率画像で高集積を示す病変部位について、心臓全体のポーラーマップを使って、誰にでも認識しやすい画像を考案した。現在このマップを使って、房室ブロックや心室性不整脈、心室頻拍など不整脈起源と病変の分布との関連を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半導体装置を使ったFDG-PETダイナミック撮影のプロトコールは確立しており、患者データの収集は順調に進んでいる。新たに考案したブドウ糖代謝率画像が病変の検出や分布を従来のSUV画像より優れ、臨床的有用性が証明されている。この結果は循環器病学会や北米放射線学会で報告した。また心臓全体における病変の分布が、画像診断医以外にも客観的でわかりやすいマップを開発した。これらによって不整脈起源や基質との関連の検討が進むことが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
新たに考案したブドウ糖代謝率マップによる病変分布と房室ブロックや心室性不整脈などの不整脈起源との関連を明らかにする。またカテーテルによる心臓電気生理検査から得られたCARTOマップによる電気生理学的な異常とブドウ糖代謝率マップによる病変との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の蔓延により、昨年度は国際学会等に出席できず、学会参加費や旅費が予定より少額となった。本年度は、研究成果を国際学会を含め広く発表するつもりである。
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