研究課題
本研究は,4D Flow MRIを用いて腹部大動脈瘤の術前後における簡便かつ正確な乱流定量法を開発し,臨床症例に対する初期検討を行うことを目的とした.4D Flow MRIは3次元位相情報を用いる血流解析法であり.血流速度・流量・剪断応力などの流れのパラメータが可視化され,腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(Endovascular Aortic Repair; EVAR)前後のダイナミックに変化を示す血行動態の評価への有用性が期待されている.今回の研究は唯一薬事承認が得られているVINCENT(Fujifilm社)の研究版を用いて行い,確立した解析方法は市販版への実装を目指せるため,普及の実現性は高い.我々が動脈瘤形成や増大のメカニズムにおいて重要であると考えているパラメータとして4D Flow MRIにおける乱流運動エネルギー(Turbulent Kinetic Energy; TKE)が挙げられる.TKEの算出プログラムの開発に先駆けて,2022年は腹部大動脈瘤に対するEVAR前後の血流変化をVINCENTで解析し,容量変化,逆流の評価,術前後の速度や流量変化に与える影響について2022年4月に開催された日本医学放射線医学会総会で発表した.今後は正確な定量法確立のために随時データの蓄積を図り,共同研究者の嶺,関根とVINCENTを用いた乱流定量法の確立を目指して行く所存である.
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