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2022 年度 実施状況報告書

脳老廃物排泄過程に関するMRIを用いた評価方法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K07813
研究機関秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所)

研究代表者

中村 和浩  秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 放射線医学研究部, 主任研究員 (10312638)

研究分担者 木下 俊文  秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 放射線医学研究部, 副病院長 (70314599)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードMRI / 高分解能撮像法 / マイクロコイル / 撮像コイル
研究実績の概要

本年度は、動物用マイクロコイルの製作を行い、動物用MRI装置で信号雑音比の検証を行うと共に信号雑音比改善のための新しいコイルの設計をおこなうことにした。動物用MRIは秋田県立循環器・脳脊髄センターに配置された、4.7T動物用MRI装置(Agilent社 Inova)を利用した。マイクロコイルの製作はまず手巻きで作成し、直径1mm,2mm,,5mm,2cmの自作マイクロコイルについてそれぞれ1から10回巻きのコイルを作成した。画像を評価するため硫酸銅ファントムおよび、ホルマリン固定のマウス脳標本の検討をしたのち、生体マウスを用いた実証実験をおこなった。その結果、直径5mm1回巻のコイルでは信号雑音比が6.5程度であったのに対して、直径2mm5回巻のコイルでは90近い信号雑音比が得られるようになった。市販のRapiBiomedical社のコイルでは撮像範囲が広く、今回画像評価したような10mm四方の領域のみを撮像範囲にすることはできない。このことから、顕微鏡撮像範囲である1mm四方領域のみを撮像範囲にすることで信号雑音比を高くできることが実験結果から示唆される結果であった。一方直径1mm5回巻のコイルで信号雑音比は60程度であり、期待するほどの信号雑音比の向上は見られなかった。これは、同調回路までの設計が不十分であったためと考えられる。また、今回信号雑音比の一番高い直径2mm5回巻のコイルで生体マウスを用いた実証実験をおこなったが、高分解能の血管撮像はできなかった。今後コイルに適した同調回路を設計するとともに、受信アンプをコイル近傍に配置することで、より高分解能の画像が得る必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度の第1の目的は、動物用マイクロコイルの製作を行い、動物用MRI装置で信号雑音比の検証を行うと共に信号雑音比改善のための新しいコイルの設計をおこなうことにあった。そのため、硫酸銅ファントムおよび、ホルマリン固定のマウス脳標本の検討をしたのち、生体マウスを用いた実証実験をおこなった。市販コイルに比べて信号雑音比の高いコイルは作成できたが、目的とする高分解能の血管撮像には至っていない。また、令和4年度の実験において、顕微鏡撮像範囲である1mm四方領域のみを撮像範囲にすることで信号雑音比を高くできることを示すことができた。

今後の研究の推進方策

引き続き、動物用マイクロコイルの製作を行い、動物用MRI装置で信号雑音比の検証を行うと共に信号雑音比改善のための新しいコイルとコイルに関連した電子回路の設計をおこなうことを第1の目的とする。動物用MRIは秋田県立循環器・脳脊髄センターに配置された、4.7T動物用MRI装置(Agilent社 Inova)を利用する。マイクロコイルについてはマイクロマシン技術を活用することも検討する。コイルの製作と同時に、中村はこれまでの動物実験の経験を生かして蛍光顕微鏡を用いて脳老廃物の排泄過程について計測をおこなう。木下は医師の観点から生理モデルに関する助言を行うと共に、実験方法の提案をおこなう。蛍光顕微鏡の観察では、大脳皮質の表面を観察するcranial windowを作成する。電動ドリルにおいて直径10mmの骨窓を作成し、硬膜を露出する。12mm径のカバーガラスを医療用接着剤で硬膜表面に固定したのち、カバーガラス周辺を歯科用セメントで固定する。歯科用セメント塗布前に、ボンディング剤を利用することで、密閉性を高め、長時間の測定をすることが可能になる。
動物用高分解能MRIシステムから充分なS/Nが得られれば、蛍光顕微鏡での観察後、動物用MRIを用いて中村が脳老廃物の排泄過程を観察する。
その後、健常ラットでMRIと顕微鏡画像の観察結果を対比させた検証実験をおこない、令和6年度は病態モデルラットでの検証実験をおこないたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により学会発表の機会が少なかったため、旅費の使用額が想定より減少した。また、マイクロコイルを評価するための解析ソフトウェアは購入ではなくライセンス更新が必要とされたため、物品費ではなくその他に計上している。電子回路の設計が年度内に終わらず、高磁場環境で利用する電子部品の購入を次年度に繰り越したほか、動物実験の大部分を年度内に実施できなかったため物品費の支出を次年度に繰り越している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Low frequency BOLD signal fluctuation analysis in stroke patients2022

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Nakamura, Toshibumi Kinoshita
    • 学会等名
      第50回日本磁気共鳴医学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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