研究課題/領域番号 |
22K07820
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
塚原 宏一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90207340)
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研究分担者 |
津下 充 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (80625004)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 新型コロナウイルス / 感染症 / 小児 / 病態生理 / 後遺障害 / ワクチン / 酸化ストレス / 生体マーカー |
研究実績の概要 |
COVID-19患者の血清検体を用いて、その重症化に関与するバイオマーカーの探索研究を行った。対象は、呼吸障害を呈したCOVID-19入院患者100例である。診療経過情報と診療に伴う血液検査データ(リンパ球数・LDH・KL-6・フェリチン・D-ダイマー・CRPなど)を収集し、酸化ストレスマーカーであるd-ROMs、ニトロ化ストレスマーカーであるNOx、NO合成酵素内因性阻害因子であるADMA、NO代謝関連アミノ酸(アルギニン・シトルリン・オルニチン)を測定した。 入院時にCT検査で肺炎を認めた患者群では非肺炎群に比べて、LDH・D-ダイマー・CRPは有意に高値で、d-ROMs高値、シトルリン低値であった。入院時に酸素補充を要した患者群では酸素不要群に比べて、LDH・D-ダイマー・CRPは有意に高値で、d-ROMs高値、シトルリン低値であった。入院後に酸素化が増悪した患者群では増悪しなかった患者群に比べて、LDH・フェリチン・CRPは有意に高値で、d-ROMs高値、シトルリン低値であった。入院時のd-ROMsとシトルリンは有意な負の相関があり、低シトルリン血症(<18.0 nmol/mL)の患者の56%が肺炎を発症した。低シトルリン血症がCOVID-19肺炎において酸化ストレスを助長し、肺炎や酸素化障害を促進する可能性が示唆された(論文投稿準備中)。 他に、5~11歳児への新型コロナワクチン接種の早期合併症の頻度が約1/3と高くないこと(J Epidemiol 2023)、新生児診療におけるCOVID-19感染リスク評価の再検討が必要なこと(PI 2023)、Google TendsがRSV感染症流行の早期予測に有用であること(BMC PH 2022)を報告した。また、MIS-Cと関連する川崎病の疫学研究も報告した(FP 2023、PR 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19肺炎患者の病態生理と生体マーカーについての臨床研究を行った。早急に論文を投稿する予定です。また、関連研究として、新型コロナワクチンのadverse eventsの検討結果など複数の論文を発表しました。
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今後の研究の推進方策 |
今後はワクチン接種も含めて、新型コロナウイルス感染症の長期フォロー結果を解析していきます。関連する基礎研究も進めていく予定です。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は基礎研究よりむしろ、臨床研究・疫学研究を進めることに集中しました。2023年度(次年度)は、培養脳血管内皮細胞を用いた細胞生物学的な基礎研究を中心にその費用を充当します。
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