研究課題/領域番号 |
22K07824
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中川 俊輔 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (60789973)
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研究分担者 |
河原 康一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00400482)
岡本 康裕 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30398002)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小児白血病 / 核小体ストレス応答 / P53 / 免疫染色 |
研究実績の概要 |
核小体ストレス応答は,薬剤などのストレスによって核小体からリボソーム蛋白質L11(RPL11)が核内に放出され,MDM2と結合することによって癌抑制因子P53 を制御する抗腫瘍システムである。本研究では,1) 診断時の急性リンパ性白血病(ALL)細胞のRPL11発現低下はALLの予後不良因子であるか?,2) RPL11の発現を低下させる機序を解明する、3) RPL11の発現を回復させる方法を見出し,小児ALLの多剤耐性を解除すること,の3つを目標としている。 2022年度は1)の診断時のRPL11の発現を評価する方法について実験を行った。RPL11発現量を絶対的に比較する技術が必要である。免疫染色は正常細胞と白血病細胞を形態的に区別でき、また核内蛋白の発現を 評価できるため、評価方法として適していると考えた。これまでに免疫染色が可能なRPL11抗体は市販されていないが,研究分担者の河原は株式会社医学生物学 研究所と共同で免疫染色が可能なRPL11抗体を作製しており,実用化に向けて開発をすすめている。 申請者は,この独自に開発されたRPL11抗体を用いて検討を 始めた。2022年度の研究でこのRPL11抗体がALL細胞株のRPL11を染色できることを蛍光免疫染色で確認できた。 蛍光免疫染色は撮影条件によって蛍光の強さや面積が異なるので、定量には適していない。2023年度はDAB染色で定量することを試みた。条件を検討し、DAB染色でもRPL11を染色できることを確認した。画像処理ソフトウェア(ImageJ)を用いて、数十個の細胞で定量することに成功した。今後はさらに多くの細胞で定量する方法を検討する。数百から数千の細胞で定量できるようになれば、臨床検体を用いた検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,1) 診断時の白血病細胞のRPL11発現低下はALLの予後不良因子であるか?,2) RPL11の発現を低下させる機序の解明,3) RPL11の発現を回復させる 方法を見出し,小児ALLの多剤耐性を解除すること,の3つを目標としている。 2023年度、1)の診断時のRPL11の発現を評価する方法については、RPL11を免疫染色によって定量し臨床検体を用いた検討ができる前段階まで進んだと考えている。 2)のRPL11を低下させる機序の解明と3)のRPL11の発現を回復させる方法については、特定のアミノ酸が重要な役割を果たすと考え、評価をすすめている。想定したアミノ酸を除いた培地で評価したところ、RPL11の発現に特定のアミノ酸が大きく影響していることをRNAレベルで確認できた。今後はRPL11蛋白レベルで発現が影響を受けているかどうか、またはそのアミノ酸を調節する因子について解析する。3)のRPL11の発現を回復させる方法につながると想定している。
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今後の研究の推進方策 |
細胞株および患者の白血病細胞でRPL11を染色できる方法は確立できたので、今後は適切なDAB染色の条件と画像解析ソフトを用いて多数の細胞で定量できる条件を検討する。この方法が確立できれば患者の白血病細胞のRPL11を定量し、予後予測に役立てることができると考えている。 また、特定のアミノ酸がRPL11の発現に重要な因子であることを特定しており、今後さらに解析をすすめることでRPL11が低下する機序の解明およびRPL11の発現を増加させる方法の解明につながるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度にRPL11抗体がALL細胞株のRPL11を染色できることを蛍光免疫染色で確認したことに続いて、2023年度はDAB染色でRPL11を染色できることを確認した。さらに、画像処理ソフトウェア(ImageJ)を用いて、数十個の細胞で定量することに成功した。ImageJは無料ソフトウェアであり、予想よりも安く研究を進めることができた。 また、RPL11の発現に関与すると考えているアミノ酸を除去した培地を発注したが、その培地が完成したのが年度末だったため、その後の検討が2023年度内に実施できていないことも使用額が少なくなった理由と考えている。
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