研究課題/領域番号 |
22K07825
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
大曽根 眞也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60708717)
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研究分担者 |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
家原 知子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20285266)
今村 俊彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30444996)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | CAR-T細胞療法 / KMT2A再構成 / 急性リンパ性白血病 / ピギーバックトランスポゾンベクター / CD19 / FLT3 |
研究実績の概要 |
先行研究で実施した、リガンド型FLT3 CAR-T細胞の薬効をさらに向上させるために、以下の研究を行った。 先行研究では、FLT3受容体のリガンドであるFLT3LGを抗原認識部位とした第2世代CAR-T細胞を、ピギーバックトランスポゾン法を用いて作成し、そのCAR発現率、in vitro薬効を評価した。その結果、CAR-T細胞は作成できたものの、in vitro抗腫瘍効果は十分でないことが明らかとなった。考えうる原因として、CAR-T細胞自身が活性化する際に内因性のFLT3LGを発現し、FLT3LG/FLT3結合が生じるため、CARたんぱくと標的であるFLT3の結合を競合阻害してしまう可能性を考えた。 そのため、FLT3特異的一本鎖抗体であるEB10を骨格として、新規FLT3特異的CARたんぱくを作成した。EB10のアミノ酸配列より、VH-リンカー-VLとなる形でCAR遺伝子配列を同定し、これを第2世代CAR発現プラスミドにクローニングした。このCAR発現プラスミドを、ピギーバックトランスポゾン法で末梢血単核球に遺伝子導入することで、FLT3 CAR-T細胞を作成した。このscFv型FLT3 CAR-T細胞は、およそ40-50%程度のCAR陽性率を示した。In vitro抗腫瘍効果の評価では、FLT3陽性急性骨髄性白血病細胞株、急性リンパ性白血病細胞株に対して、特異的かつ強力な抗腫瘍効果を示した。さらに、FLT3陽性急性リンパ性白血病細胞株担がんマウスモデルに対しても、in vivo抗腫瘍効果を示した。 以上の結果より、FLT3陽性悪性腫瘍細胞に対して、特異的かつ強力な抗腫瘍効果を示すCAR-T細胞を作成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった、scFV型FLT3特異的CAR-T細胞を作成することができ、さらにその特性解析、in vitro抗腫瘍活性、in vivo抗腫瘍活性が評価できたこと。
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今後の研究の推進方策 |
FLT3 CAR-T細胞の抗腫瘍効果を更に最大限に高めるための改変を行う。具体的には、共刺激因子の最適化として、CD28型、4-1BB型、第3世代型のCAR-T細胞をそれぞれ作成し、抗腫瘍活性の評価を行う。 また、CAR-T細胞療法の抗腫瘍効果を向上させる戦略として、CAR-T細胞の免疫疲弊を低下させる事が可能な分子標的薬との併用療法にも取り組んでいる。現在すでに複数の併用薬候補を選定し、薬効評価を行っているが、CAR-T細胞の抗腫瘍効果を向上させる分子標的薬とその機構の同定を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の見込みより細胞培養やCAR-Tの作成に要する費用が少なく済んだため、次年度使用額が生じた。これらは引き続き細胞培養、CAR-T細胞の作成に要する試薬などの消耗品への費用に充当する。
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