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2022 年度 実施状況報告書

複雑核型染色体とクロモスリプシス関連白血病の病態解明と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K07830
研究機関地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所)

研究代表者

川村 眞智子  地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 病院 臨床検査科, 科長 (80450592)

研究分担者 小林 泰文  地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 病院 血液内科, 副病院長 (50455375)
春田 雅之  地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (80392190)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードクロモスリプシス / 複雑核型染色体異常 / SNPアレイ / 白血病
研究実績の概要

白血病の治療成績は,造血幹細胞移植,分子標的治療薬の発展により向上してきたが,未だ難治性のものがある.がんの発症は,これまで,遺伝子変異の蓄積(多段階発がん)によると考えられてきた.近年,1~数本の染色体が一度に数十~数千にも粉砕され,遺伝子が再構成する新たな発がんメカニズム(クロモスリプシス)が提唱されている.複雑核型染色体をもつ白血病の中から,次世代シークエンスNGS解析によって クロモスリプシス関連白血病を検出し,その特徴を明らかにし臨床への応用を検討する.
前年度までの研究で,まれではあるが,クロモスリプシス関連の白血病があることが明らかになったが,その予後は不良であり,的確な診断と治療戦略が必要である.
①複雑核型染色体異常を示す急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成 (MDS) の症例は予後不良で,造血細胞移植が適応となり,一部はTP53遺伝子異常を示すが,症例ごとに染色体異常は多様でその病態は不明である.AML,MDSを中心に,複雑核型染色体を呈する症例とクロモスリプシスとの関連を明らかにしたい.
②クロモスリプシス関連白血病の症例を集積し,細胞形態(特に微小核との関係),染色体,SNP (single nucleotide polymorphism)アレイ,RNA-シークエンス,ターゲットシークエンスなどNGSによる網羅的遺伝子解析によりその特徴を明らかにする.またクロモスリプシス症例を見つけるために全例をNGS解析で診断することは現実的でないため,検査室レベルで行える新たな簡便なスクリーニング法を開発したい.
③発症に関わるドライバー遺伝子(融合遺伝子等)を探索し,機能解析から治療ターゲットの開発につなげたい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度までの研究で,解析したクロモスリプシス関連白血病に加え,複雑核型白血病のSNPアレイを行い,クロモスリプシス関連白血病と考えられる例を集積し解析を進めている.

今後の研究の推進方策

1)クロモスリプシスが疑われる症例の探索と診断:対象は,複雑型染色体を示す白血病を中心に解析する.特にクロモスリプシスの存在を示唆する形態学的所見である細胞内小核の検出,クロモスリプシスとの関連性が指摘されているmarker染色体やring染色体,dminを持つ等の症例を抽出する.①SNPアレイ/CytoScan HD array (Affymetrix) 解析を行い,1本の染色体に増幅と欠失が集中するクロモスリプシス様パターンを示す症例を検出する.②マルチカラーFISH,NGS解析(RNA-シークエンス,ターゲットシークエンス,全ゲノム解析,メチル化解析)で,クロモスリプシス疑い症例について統合的に診断を確定する.③診断に有用な特徴的な融合遺伝子はRT-PCRで確認し,増幅遺伝子はFISHで確認する.それぞれ検出可能なRT-PCR用のプライマーやFISHプローブを作製する.
2) クロモスリプシスとBFBの関連を解析:広島大学との共同でPNA-FISH法を用いて動原体異常について解析する.動原体異常があった場合は, テロメアの異常を引き起こしやすいゲノム損傷修復の機能不全の状態について全ゲノムシークエンス結果から網羅的に遺伝子解析をする.
3)骨髄塗抹標本上FISH:細胞質に小核が認められる白血病については,小核内で増幅している遺伝子についてFISHプローブを作製し,診断が可能かどうかを検証する.
特に,細胞培養ができない検査室でも,塗抹標本上のFISHが可能になれば,検査室内で迅速に簡便に診断ができる可能性がある.

次年度使用額が生じた理由

アレイ解析にかかる費用が年度内支払い分で不足する可能性があり,次年度にまとめて支払うようにアレイ解析を新年度に行った.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] The combination of ruxolitinib and Bcl-2/Mcl-1 inhibitors has a synergistic effect on leukemic cells carrying a SPAG9::JAK2 fusion2022

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Azusa、Tomii Toshihiro、Kanayama Takuyo、Mikami Takashi、Tanaka Kuniaki、Ueno Hiroo、Yoshida Hideki、Kato Itaru、Kawamura Machiko、Nakahata Tatsutoshi、Takita Junko、Hosoi Hajime、Imamura Toshihiko
    • 雑誌名

      Cancer Gene Therapy

      巻: 29 ページ: 1930~1938

    • DOI

      10.1038/s41417-022-00511-z

  • [学会発表] 二重微小染色体(double minute)を持つ白血病における小核(micronuclei)の出現とMYC遺伝子増幅2022

    • 著者名/発表者名
      川村眞智子、堀井洸佑、熊倉永莉香、岡田千春、桑野東子、小林一彦、金子安比古
    • 学会等名
      第23回日本検査血液学会学術集会
  • [学会発表] Double minutesを持つ白血病の、MYC増幅、TP53変異、chromothripsisとの関連2022

    • 著者名/発表者名
      川村 眞智子、春田雅之、小林 泰文、笠井 文生、金子 安比古
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術集会
  • [学会発表] EP300-ZNF384 fusion gene-positive acute lymphoblastic leukemia with various developmental patterns2022

    • 著者名/発表者名
      Machiko Kawamura, Masayuki Haruta, Yasuhiko Kaneko
    • 学会等名
      第84回日本血液学会学術集会
  • [学会発表] Novel BCL11B fusion gene in adolescent T-cell acute lymphoblastic leukemia with complex chromosomal abnormality2022

    • 著者名/発表者名
      Machiko Kawamura, Masayuki Haruta, Yasuhiko Kaneko
    • 学会等名
      第62回日本小児血液・がん学会学術集会
  • [学会発表] びまん性大細胞型B細胞リンパ腫DLBCLにおける血清サバイビン測定の臨床的意義の検討2022

    • 著者名/発表者名
      川村眞智子、明貝路子
    • 学会等名
      第69回日本臨床検査医学会

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公開日: 2024-12-25  

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