研究課題
本研究は、サイトカインの分子認識における原子間相互作用を制御する分子標的薬としての低分子~中分子化合物の開発へつなげることを目的としている。現在までに N 末端 8 残基は結合に必須でないことが実験にて検証されており、今後、さらなるコア配列の解明と結合様式の解析が重要となっている。さらに、IL-18 系にて確立したシステムを応用して、他のサイトカイン (特に同じ立体 構造をもつ、β-trefoil 型サイトカインである、IL-33, IL-37 等)における同様のメカニズムによる分子標的阻害剤の発見・開発へつなげることが目標となる。具体的には、低分子開発の基盤を得るために、本研究において明らかにすべき課題となる。1)IL-18 阻害ペプチド結合解析に必要な特異的手法の確立 2)阻害ペプチドの核となる化学構造の決定えお進める。当該年度においては、主にIL-18 阻害ペプチド結合解析に必要な特異的手法の確立の基礎的検討を行うとともに、今後に必要となるin vivoでの薬剤効果評価システムの開発を行った。今回対象となる IL-18 リガンドとその阻害シグナルペプチドにおける分子間相互作用は、酵素タンパクにみられるタンパク表面上のポケットと低分子の相互作用とは異なるため特殊な手法の導入・開発が必須である。そのため、ハーバード大学との共同開発を行ったタンパク分子 間ドッキングシミュレーション法を応用し、分子エネルギーシミュレーション手法を用いた相互作用の定量的解析を進めた。さらに、自己炎症性疾患における臓器変化としての骨格異常などの定量的評価のための3DCT解析法などの基礎的技術解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
計画に基づいた解析を進めることができており、また、in vivo解析法の基礎的検討にも着手できたことから、概ね計画通りに実施できたと考えられる。
今後は、計画に基づいた分子シミュレーションとともに、in vivo解析法のさらなる確立と、実際の生体におけるマクロ3D解析を行う予定である。
当該年度については、当初の計画に基づき、低分子シミュレーション設計ソフトウエアのバージョンアップの費用を計上していたが、本学の共通実験施設においてシミュレーションが可能となったため、当研究室固有ソフトウエアのバージョンアップにかかる費用が不要となった。一方、in vivoでの薬剤効果評価システムの開発の基礎技術の確立を行うにあたり、次年度からCT解析装置を使用することが本研究に資すると考えられたため、本学事務との相談の上、次年度以降のリース料などへ、予算を活用することとなった。23年度以降については、共通施設におけるシミュレーション解析を行うとともに、CT解析装置を用いたマクロ3D解析を実施する計画である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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