研究課題/領域番号 |
22K07850
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
田中 えみ 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60823581)
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研究分担者 |
安居 輝人 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, プロジェクトリーダー (60283074)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脳性まひ / 早産児 / 幹細胞 / 臍帯血 |
研究実績の概要 |
早産児脳障害の特性を理解し、細胞治療の可能性を探るため、今年度は多様な分娩・周産期因子と臍帯血幹細胞性との関連を知ることを目的とした。 臍帯血成分の解析は臍帯血バンキングからの報告が多い。臍帯血の幹細胞性を示すとされるCD34陽性細胞数は、体重が大きい・経膣分娩などの因子と相関しているとされる。臍帯血バンクでは正常分娩が中心であるため、早産児や異常分娩を広くあつかった報告は少ない。臍帯血と周産期因子を調べるにあたり、大阪公立大学医学部附属病院において、多様な分娩背景の46症例を対象とした。臍帯血CD34陽性細胞数は採取3日以内の臍帯血を用いて、フローサイトメトリーの手法で計測した。 症例の背景は、経腟分娩21例・帝王切開24例、在胎週数25-40週(中央値37週)、出生体重495-3935g(中央値2352g)、臍帯血pH 7.00-7.41(中央値7.25)。 臍帯血白血球数は、早産児を含む集団においても既報と同じく週数、体重、分娩方法(経腟分娩)と正の相関、臍帯血pHと負の相関を認めた。多変量解析でも分娩方法、体重、臍帯血pHとも有意であった。一方で臍帯血CD34陽性細胞数は、白血球数との相関も乏しく、今回の検討では分娩方法、体重、臍帯血pHとも有意ではなかった。 計測手法や保存方法に再検討を要する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臍帯血に関しては目標症例の半数程度、臨床検体を収集することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
胎内から出生後における臍帯血幹細胞のダイナミクスを知る: 胎内環境からの出生は、呼吸開始に伴う血中の酸素分圧上昇や、胎盤から離れることによる栄養状態の変化が著しく、これが臍帯血造血幹細胞の劇的な変化・減少につながると考えた。このダイナミクスは臍帯血のみでは得られない情報である。日齢0、日齢1の新生児血を採取し、臍帯血からの変化を追う。血液ガス、アミノ酸分析を大阪公立大学で、プロテオーム解析を医薬基盤・健康・栄養研究所で行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床検体の収集が半数程度であり、保存が中心となった。 解析のための試薬購入等は次年度以降で行う予定である。
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