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2023 年度 実施状況報告書

CRL3依存性プロテオスタシスを基盤とした髄芽腫新生血管の特性解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K07870
研究機関愛媛大学

研究代表者

田手 壮太  愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (90939638)

研究分担者 坂上 倫久  愛媛大学, 医学系研究科, 講師(特定教員) (20709266)
東山 繁樹  愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード血管新生 / 髄芽腫 / ユビキチンリガーゼ / CUL3 / CRL3 / KCTD10 / 血管内皮細胞 / プロテオスタシス
研究実績の概要

髄芽腫は小児脳腫瘍の約20%にみられる高悪性度の脳腫瘍であり、極めて新生血管に富む組織像を示す。腫瘍血管の増加は、生存率と負の相関を示すことから、腫瘍血管新生が髄芽腫の重要な治療標的の一つとなっているが、腫瘍血管を含むがん微小環境(TME)の複雑な細胞構成に伴い、TMEの形成や機能については不明な点が多く残されている。TMEにおいて、血管内皮細胞(EC)はリモデリングによってその特性を大きく変化させるが、その詳細は未だ明らかではない。申請者らは、血管新生の多段階ステップにおいてECリモデリングを制御する重要な因子として、複数のCullin3(CUL3)型E3ユビキチンリガーゼ(CRL3)複合体を同定してきた。
CUL3をEC特異的かつ時期特異的にノックアウトできるマウスを作成し、これを解析したところ、CUL3をEC特異的にノックアウトすると、ほぼ全てのマウスが一定の日数内で死亡し、CRL3システムが成体マウスでの血管恒常性維持に必須であることが明らかになった。また、全身の血管でCUL3をノックアウトしているにもかかわらず、特定の臓器で血管の破綻が見られ、CUL3による血管恒常性維持機構には組織特異性があることが示唆された。
また、CUL3の基質認識受容体タンパク質であるPotassium Channel Tetramerization Domain Containing 10(KCTD10)をEC特異的かつ時期特異的にノックアウトできるマウス(VE-CadERT2;KCTD10flox/floxマウス)を作成し、同様に解析したところ、CUL3ノックアウトマウスと比較し、より早期のマウス死亡を認め、血管恒常性の破綻もより臓器特異的であった。
今後、脳血管恒常性維持におけるCUL3-KCTD10の役割、および腫瘍血管新生におけるCRL3システムの機能解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

VE-CadERT2;CUL3flox/floxマウスおよびVE-CadERT2;KCTD10flox/floxマウスの解析により、CRL3システムが成体マウスでの血管恒常性維持に必須であり、かつ臓器特異性を示すことを突き止め、CRL3システムは正常脳血管構築において脳血管バリア形成に深く寄与していることを明らかにした。
CRL3システムによるプロテオシタシス制御を詳細に解析するために、HA-タグ・ユビキチン(HA-Ub)を組織特異的かつタモキシフェン(Tmx)投与依存的に発現するマウス(Rosa26 HA-Ubマウス)が完成したため、現在、前述マウスと交配中であり、交配後はRosa26 HA-Ubマウスと比較解析することによりCUL3の基質全貌を明らかにする予定である。

今後の研究の推進方策

CUL3の基質全貌を明らかにする。 髄芽腫モデルマウス(Smo/Smoマウス)より腫瘍を摘出し、VEC3Uマウスに同所移植する。同マウスより得られる腫瘍組織を組織学的に血管構築および腫瘍の増殖・浸潤を解析する。
また、腫瘍組織を用いたRNA-seq解析の実施を検討している。

次年度使用額が生じた理由

マウスの作成が予定より遅れているため、解析に必要な費用を残している。 今後、解析用に使用予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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