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2022 年度 実施状況報告書

胎児の左右軸形成異常を引き起こす糖尿病母胎環境と分子メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K07871
研究機関九州大学

研究代表者

北島 桂子  九州大学, 医学研究院, 助教 (00332784)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード妊娠糖尿病 / 左右軸 / Wntシグナル / CRISPR-Cas9
研究実績の概要

ストレプトゾトシンを腹腔内投与することにより糖尿病を誘発した母体から得られた胎児では、母体血糖値と心臓の左右形態異常の頻度、側板中胚葉でのPitx2の発現パターンに相関性が見られた。これらの胚では右側相同が発生することを既に報告しているが、与える飼料のロットにより左側相同が出現することがわかった。また、Wnt3aのエンハンサー解析の一環として、CRISPR-Cas9法によりexon1を欠損したWnt3aΔex1マウスを新たに作出し、既報のWnt3a null胚と同様に左右軸の異常も再現されることを確認した。しかしながら、心臓形態異常の出現頻度は給餌ロットにより変動することが新たにわかった。
一方、研究代表者はWntの阻害因子であるSecreted Frizzled Related Protein (Sfrp)が8日胚の側板中胚葉で左右非対称に発現することを見出した。そこでSfrp1、Sfrp2、Sfrp5に着目し、それぞれの側板中胚葉における発現を制御するシス配列を特定するため、ChIP-Atlasを用いて候補領域を絞り込み、BACトランスジェニックレポーター法によりエンハンサー解析を行った。2022年度においては、まずSfrp5の側板中胚葉エンハンサー(LPME)領域を約500bpに特定し、Sfrp5_LPME-hspLacZトランスジェニック8.0日胚の側板中胚葉におけるレポーター活性を確認した。またSfrp5のLPMEを欠失させたBACをトランスジェニック法で評価したところ、側板中胚葉でのレポーター活性の左右差は減弱することがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

糖尿病母体やWnt3a KOに与える餌のロット毎に栄養成分が異なり、安定した実験結果が得られない。そこで精製飼料の導入を検討したが、マウス母体の摂餌量が充分ではなく目的の胚が得られていない。これらの実験条件の再検討を余儀なくされているため、当初の実験計画から進行が遅れている。
Wnt3aのエンハンサー解析では、Wnt3aの原条エンハンサーPSE1に変異を入れたWnt3aΔPSE1/ΔPSE1マウスを作出したが、出生仔の尾長などの表現型は得られなかった。もう一つの原条エンハンサーPSE2にも変異を入れたWnt3aΔPSE1/ΔPSE1;ΔPSE2/ΔPSE2の作出を試みているが、PSE2を欠失したマウス系統は得られておらず、実験の進行が遅れている。

今後の研究の推進方策

CRISPR/Cas9システムを用いてWnt3aΔPSE2の変異を導入した後、Wnt3aΔPSE2/ΔPSE2胚の原条におけるWnt3a発現の変化を検証する。その後、Wnt3aΔPSE1/ΔPSE1;ΔPSE2/ΔPSE2マウスをWnt3a KOマウスと交配し、ダブル変異胚、トリプル変異胚の表原型を解析することで、Wnt3aのPSE1、PSE2それぞれのエンハンサー活性を評価する。 また糖尿病マウスおよびWnt3a KOマウスに各種飼料を与え、栄養成分の違いによる胚の左右軸形成への影響を明らかにする。
Sfrp5のLPMエンハンサーを欠失したマウス系統を作出し、左右軸形成に影響を与えるかを確認する。Sfrp1とSfrp2のLPMエンハンサーについても引き続き特定を試みる。

次年度使用額が生じた理由

解析に使用する給餌ロットの栄養分析に予算を使用する予定であったが、左右軸を頻発させる餌ロットが選定できておらず、次年度以降に持ち越しとした。
また、来年以降に解析に必要な高額物品を購入する予定であり、初年度の予算を繰越使用することとした。

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公開日: 2023-12-25  

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