研究課題/領域番号 |
22K07875
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高橋 和浩 帝京大学, 医学部, 講師 (60297447)
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研究分担者 |
神田 知紀 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30514781)
山本 麻子 帝京大学, 医学部, 准教授 (70797125)
西野 智彦 帝京大学, 医学部, 助手 (50939486)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 先天性腎尿路異常 / Arterial Spin Labeling / 核磁気共鳴画像 |
研究実績の概要 |
【1.先天性腎尿路異常(CAKUT)症例で拡散強調画像(DTI)・Arterial Spin Labeling(ASL)画像・レノグラム画像を取得】2023年度はCAKUT症例6例で、MRI検査・核医学検査を行い、DTI、ASL画像、レノグラム画像を取得した。(今年は新規に診断したCACUT症例は3例だったが、すでにCAKUTと診断されている症例でフォローアップ検査を行ったことから、その3症例の画像も追加し、2023年度の検討症例は6例となった。) 【2.腎臓のsegmentation方法の開発】核磁気共鳴(MR)画像から腎のみを抽出するMATLABのスクリプトを髙橋と研究協力者のRokemが開発中である。抽出された皮質領域は腎の外縁は実際よりも中心側が選択される傾向にあり、今後改良をかさねてゆく。 【3.DTIからTractography(TG)の線維数を算出】TG用の前処理パイプラインは2022年に最適化したものを継続して使用した。 【4.ASL撮像による腎血流量(RBF)の算出】今年度もTrue FISPシーケンスを用いて、前額断・矢状断でのRBFを測定した。 【5.腎皮質の体積算出のためのアルゴリズム構築】腎臓全体の糸球体数算出のため、皮質領域を抽出するアルゴリズムを前年度に引き続いてdeep learningを用いて構築している。鎮静下でも撮像できるよう、皮質描出のために撮像しているT1強調画像は呼吸同期で行うことが望ましいが、検査に5分程度要することから、自由呼吸下での撮影できた症例に限って検討した。 【6.糸球体数とTGの線維数との相関式を導出】2023年度に行った4例の病理標本で糸球体密度を算出した。上記5.で腎皮質体積算出のアルゴリズムが完成次第、腎皮質体積とTGとの相関を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例は順調に蓄積されており、プロジェクトにおける各目標も共同研究者・研究協力者の協力を得て、課題は着実に遂行できていると考える。ただし、皮質体積算出のアルゴリズム作成に必要な画像数が不足しており、画像数を増やすための時間が必要なため、進捗はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 今後新規に診断されるCAKUT症例と腎生検を行った腎炎・ネフローゼ症候群で、MR・核医学画像を取得するとともに、腎病理組織から単位体積あたりのネフロン数を算出する 2. 新規に腎生検を行った症例でDTIを取得し、TGの線維数を算出する。この際、線維の数だけではなく、長さも計測し、腎機血流量やネフロン数との相関を検討した。過去に撮像した症例でも線維長を計測して、データを総合して検討する。 3. ASL画像から腎血流マップを作成する。過去に撮影したDMSAシンチグラフィーとASL画像による腎血流マップとを比較し、ASL画像が腎瘢痕の検出でDMSAシンチグラフィーより非劣性か、検討する。 4. T1強調画像から作成した腎皮質抽出アルゴリズムを用いてT2画像からも皮質がsegmentationするアルゴリズムを開発できるか検討する。これにより過去で撮像したデータで皮質体積を算出できるように成ため、より多くの症例で検討が可能になる。 5. 皮質体積計算のアルゴリズムが完成次第、糸球体数とTGの線維数との相関を明らかにし、糸球体数とTGによる繊維数との相関を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年は画像処理の作業よりも皮質体積算出のためのアルゴリズムに重点をおいたため、研究支援のための人件費の費用が抑えられたため。 また、旅費を計上しなかったため。
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