研究課題/領域番号 |
22K07885
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大森 晶奈 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 博士研究員 (10928782)
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研究分担者 |
片桐 千秋 北海道大学, 薬学研究院, 特任助教 (00443664) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 花粉症 / スギ花粉特異的IgE / 乳酸菌 / Foxp3 / ラクチル化 |
研究実績の概要 |
今年度は、動物実験による乳酸菌Pediococcus sp. Aの花粉症発症の予防効果について検討を行なった。花粉症モデルマウスは、5週齢のBALB/cマウスに一次感作としてスギ花粉抗原Cry j 1とAl(OH)3を腹腔内投与し、二次感作としてCry j 1を8日間鼻腔に投与することで発症させた。二次感作3日目に尾採血を行い、スギ花粉特異的IgEの上昇を認めた。乳酸菌Pediococcus sp. Aの投与は一次感作を開始する1週間前から6回/週で行い、継続的に解剖日まで行なった。乳酸菌Pediococcus sp. A投与群では、血清中のスギ花粉特異的IgE及びヒスタミンの減少、IFN-γ及びIL-12の増加、くしゃみ、鼻掻き行動の回数の低下を認めた。加えて、乳酸菌Pediococcus sp. A投与群では脾臓重量の減少を認めた。また、脾臓におけるIgE受容体αのmRNA発現量の低下、制御系T細胞のマスター因子であるFoxp3のmRNA発現量は増加した。白血球数に有意な差はなかった。以上のことから、花粉症モデルマウスによる乳酸菌Pediococcus sp. Aの花粉症の症状の緩和と大まかな作用機序が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験は概ね順調に進み、乳酸菌Pediococcus sp. Aの花粉症発症の予防効果と大まかな作用機序は明らかになった。加えて、花粉症モデルマウスのPediococcus sp. A摂取によるFoxp3のmRNA発現量の増加が認められた。今後は、乳酸菌摂取による花粉症モデルマウスの腸管膜リンパ節におけるラクチル化部位の特定と乳酸菌摂取がラクチル化に与える影響を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、花粉症に特異的なサイトカインや遺伝子の発現量を定量し、より詳細な作用メカニズムを明らかにする。ラクチル化に関しては、①乳酸菌摂取による花粉症モデルマウスの腸管膜リンパ節におけるラクチル化部位の特定、②ヒストンのラクチル化により制御される転写因子の同定、③Foxp3の発現量の増加とヒストンのラクチル化の相関を明らかにする。以上により、花粉症への乳酸菌摂取における症状緩和効果と腸管膜リンパ節で起こるラクチル化の役割について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
花粉症モデルマウスの作成における動物、花粉症発症のための試薬、サイトカイン定量に使用するELISA等、主に動物実験のために念の為、次年度分の使用額が生じたが、持ち越し分の含め、今後、ラクチル化の費用に使用し、花粉症モデルマウスにおける乳酸菌摂取による腸管膜リンパ節のラクチル化の役割を明らかにする。
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