研究課題/領域番号 |
22K07888
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
合井 久美子 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (70324192)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | mitotic slippage / 難治性小児がん / apoptosis |
研究実績の概要 |
悪性ラブドイド腫瘍などの小児がんの難治性の一因として、Vinca alkaloid等の細胞分裂期の微小管形成の阻害に関わる抗腫瘍剤が損傷回復不能なDNA傷害をもたらした際に起こりうるmitotic slippageによる細胞死の回避、染色体の不均衡による数や構造の変化等による治療抵抗性が獲得が推定されている。 我々は多くのがん細胞で高発現しているヒストン等のメチル基転移酵素であるEZH(enhancer of zeste homolog)2阻害剤により、ラブドイド腫瘍、未分化肉腫の細胞株で4倍体も含むaneuploidへの移行によるmitotic slippageを観察したが、明らかな細胞死は観察できず、apoptosis抵抗性であることが予測された。このmitotic slippageの要因として、細胞分裂期に関わるキナーゼの異常、アポトーシス抑制因子の異常活性化が挙げられるため、EZH(enhancer of zeste homolog)2阻害剤によるmitotic slippageをきたしたラブドイド腫瘍株と未分化肉腫細胞株において、細胞分裂期関連蛋白の欠損(Aurora蛋白、CDC20)とアポトーシス関連蛋白(Bcl-xL,MCL-1)の異常発現を確認した。 EZH2阻害剤およびアポトーシス関連蛋白阻害剤単独での明らかな細胞死は確認できなかったため、現在研究計画書に乗っ取り、EZH2阻害剤+アポトーシス関連蛋白阻害剤による効果を観察中であるが、高発現しているアポトーシス関連蛋白に対する阻害剤との併用で単独投与に比較し、明らかに細胞増殖が抑制されている結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各腫瘍に対する蛋白発現等の実験は予定通り施行した。EZH2によるmitotic slippageも2細胞株で確認できたが、他のVnca Alkaloidでの確認や、他の細胞株での検討は今後となっている。mitotic slippageを確認できた2細胞株におけるEZH2およびアポトーシス関連蛋白阻害剤の併用効果については現在検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
計画書に乗っ取り、他細胞株や細胞分裂期に関わる抗腫瘍剤によるでのmitotic slippage現象の確認、アポトーシス関連蛋白阻害剤との併用効果について、in vitroでの実験を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が少し遅れており、前年度用いるべき試薬等の購入が次年度に持ち越されてしまったため、次年度使用額が生じております。
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