研究課題/領域番号 |
22K07894
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
杉田 光士郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (50781514)
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研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
大西 峻 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (10614638)
垣花 泰之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20264426)
矢野 圭輔 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30757919)
新山 修平 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 准教授 (40258455)
政所 祐太郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40794061)
加治 建 久留米大学, 医学部, 教授 (50315420)
上國料 千夏 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (50751278)
武藤 充 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70404522)
一瀬 宏 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (90192492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 壊死性腸炎 / テトラヒドロビオプテリン / ビオプテリン代謝産物 |
研究実績の概要 |
重要な新生児外科疾患であるNECの原因は未だ不明であり、予防法・治療法は確立されていない。生存率上昇と神経学的予後の乖離の原因はNECと中枢神経の関連を解明する必要がある。NECは内科的治療が中心となるmedical-NECと外科的治療が中心となるsurgical-NECに分類されるが、病理学的診断が不可能なmedical-NECは確定診断を得られず軽快する場合もわずかに存在する。またMedical-NECの中にも敗血症を来す場合がある一方で、進行性の疾患のため現状の治療では手術治療が不可能なほどの急速な転帰をとる場合もある。一施設で経験できる症例数も限られており、臨床情報からだけではエビデンスが得られにくいため、詳細な病態を把握するためには動物実験での検証しかないのが現状である。NECラットモデルの作成は実験手技が煩雑でモデルの確立に技術を要するが、モデル作成は一定の成果が得られた。NECは組織障害を受けた腸管であるため組織標本を作製することが難しい。また現在は重症NECモデルを用いており、炎症の波及や発症が早い。そのため発症過程の詳細を調査することは困難であると判断した。もともと進行性疾患であるため、全身や腸管への障害の蓄積が経過の根底であるため、緩徐に進行するモデルへ変更する方が、NECによって脳組織で生じている障害をフェニルアラニンの異常蓄積やドーパミンやセロトニンなどの芳香族モノアミン代謝との病態生理を解明するという観点からはよいと思われる。本研究の内容は、小児・成人患者問わず敗血症を発症する病態で高次脳機能障害を余儀なくされた患者に対しても応用が可能であると考えるため、今後も引き続き検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究開始後まもない段階で、当施設動物実験施設が大規模改装工事に入り、実験室移転に伴い、実験設備などの関係から研究継続が困難になった。今年度より本格的に移転作業が終了したため、再度研究環境を調整し、開始予定である。同モデルを用いた別の研究を同時に行っており、もともとモデル作成に時間を要するため、研究を実施する人材の確保も課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
緩徐進行型NECモデルを作成し、病態を軽症、中等症、重症に振り分ける必要がある。そのためにモデル作成は出生後早期からではなく、母体と5日間の環境馴化を経てから低酸素刺激と人工乳、LPS刺激を行うプロトコールへ変更する。その後病期別にビオプテリン代謝産物を測定し、推移を予測する。また脳を採取し、病理標本で各病期の神経細胞の損傷の有無や部位を網羅的に調査し、治療ターゲットを探る必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画自体が動物実験施設改修の影響やコロナ化による人材不測のあおりを受けている。また実験プロトコールに大きな変更はないものの、軽微な変更の必要性があり、検体が採取できていない現状がある。来期以降に検体採取し、必要な試薬や物品を購入する。
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