研究課題/領域番号 |
22K07898
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
藤原 優子 帝京大学, 薬学部, 講師 (70722320)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 副腎白質ジストロフィー / スフィンゴ糖脂質 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
ABCD1遺伝子異常によるX連鎖遺伝性疾患である、副腎白質ジストロフィー (X-ALD) では、細胞質からペルオキシソーム内への炭素数24以上の極長鎖脂肪酸の輸送過程に異常が生じる結果、極長鎖脂肪酸の分解ができなくなり、血液や組織に極長鎖脂肪酸が蓄積する。臨床診断基準には血中の極長鎖脂肪酸分析及び遺伝子診断が用いられているが、脱髄の機序や極長鎖脂肪酸蓄積の病態への関与もほとんど解明されていない。病因遺伝子であるABCD1遺伝子変異と臨床病型の間に明らかな相関関係は認められず、遺伝子型から発症年齢あるいは臨床病型を予測することはできない。現状でX-ALDの唯一の治療法は発症早期造血幹細胞の移植であり、効果的な診断・治療を行う上で発症や病型を規定する因子の探索および病型診断法の確立が強く求められている。 本研究では、脳白質にはガングリオシドを始めとする抗原性が高いスフィンゴ糖脂質が多く含まれるが、糖鎖構造に関する多くの報告に比べ、疎水基の構造も含めた分子種レベルでの解析はほとんど行われていないことに注目し、微量サンプル中におけるスフィンゴ糖脂質を測定するために、Nano flow を用いた高感度な構造解析法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、微量サンプルの解析のために、質量分析計にnano flowを介して、超微量持続注入装置(TriVersa NanoMate)を接続し、そのスプリッター機能により、MS分析と同時にフラクションを分取したのちに、長時間微量注入と精密質量測定による構造決定の解析系の検討を行った。さらに、X-ALD患者剖検脳凍結標本とabcd1KOマウス脳を用いてスフィンゴ糖脂質の網羅的解析を行なった後、検討した解析系を用いて、患者剖検脳、野生型、および、abcd1KOマウス脳で発現の相違を示した糖脂質分子種の構造解析を行なった。その結果、スフィンゴ糖脂質の構成糖およびセラミド分子種が同定できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに確立したTriVersa NanoMateを用いる、構造決定の解析法を用いて、X-ALD患者および非患者の剖検脳の凍結標本において、病態特異的に変動する新奇脂質性化合物の同定を試みる。さらにイメージング質量分析により、新奇脂質性化合物の局在を明らかにすることも試みる。また、組織中の微量な成分であるスフィンゴ糖脂質を効率よく検出するために、サンプルの前処理の検討を行い、既存の分析系の高感度化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会に参加する予定だったが、大学の業務のため日程があわず、参加できなかった。 また、初年度で酵素を買う予定だったが、実験の順番を入れ替えたために初年度には必要なくなったため購入しなかった。 酵素に関しては次年度に必要となるため購入する予定である。
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