研究課題/領域番号 |
22K07907
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本多 昌平 北海道大学, 大学病院, 講師 (90588089)
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研究分担者 |
北河 徳彦 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (00585135)
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20381254)
田中 祐吉 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (50420691)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肝芽腫 / エピゲノム解析 |
研究実績の概要 |
【研究の目的】本研究では、肝芽腫発生モデルを模倣して、iPS細胞由来肝芽細胞に特異的シグナルパスウェイの遺伝子発現導入をおこない肝芽腫細胞を誘導する。CDDP耐性を獲得した肝芽腫細胞のエピゲノムプロファイリングにより、耐性獲得に関わるメチル化およびmiRNA発現異常を同定する。遺伝子異常の蓄積が少ない肝芽腫細胞・臨床検体を研究対象とすることで、エピゲノム異常が直接的に抗癌剤耐性獲得に働く機序を探求することが可能と考えられ、他癌種に共通するドライバーとしてのエピゲノム異常を解明し新規治療法開発につながると期待される。 【研究の成果】 iPS細胞由来肝芽細胞より誘導した肝芽腫細胞のエピゲノム解析 ヒトiPS細胞由来iCell Hepatoblast(FUJIFILM)の供給停止に伴い、iPS derived Definitive Endoderm(TAKARA bio)を用いてβcatenin活性型変異(βcateninS37Y)、YAP活性型変異(YAPS127A)をLentivirusを用いて導入し、その発現レベルをRT-PCRおよびWBにて確認した。βcateninのターゲット遺伝子であるAxin2, Areg、YAPのターゲット遺伝子であるCTGF, Cyr61についても有意な発現上昇を確認した。細胞形態の違いは明らかで、遺伝子変異の導入により表現型に変化が生じたことを示唆するものであった。エピゲノム編集に関わるDNMT3bはβcatenin・YAPの両者を導入した群で発現上昇を、TET1の発現は有意に低下を認めた。肝芽腫への誘導が得られた細胞を用いて現在RNA-seq解析をおこない、誘導した細胞特異的な遺伝子プロファイリングを施行中である。またChIP-seq解析をおこなっており、エピゲノム修飾のプロファイリングも同時進行して施行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験開始当初はiPS細胞由来肝芽細胞の培養確立、および変異遺伝子導入のための基礎実験に時間を要したが、実験系が確立できてからは安定したin vitro解析の進行が可能となった。その矢先にiCell Hepatoblast(FUJIFILM)の供給停止に伴い、iPS derived Definitive Endoderm(TAKARA bio)を急遽採用し、各種遺伝子のmRNA発現解析を行った上で誘導した細胞(株)の特性を確認し、最終的には網羅的発現解析(RNA-seq解析)にて肝芽腫の特徴を有していること(GSEA解析)を検討した。当初の実験計画であるCDDP耐性獲得に関わる候補遺伝子の選別をおこなう工程にまでは至っておらず、いましばらく準備が必要な段階である。
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今後の研究の推進方策 |
肝芽腫発生モデルを模倣した肝芽腫細胞の誘導を経た上で、CDDP耐性能獲得にはたらくmolecular mechanismを探求し、CDDP耐性候補遺伝子の選別を進める。 validationに用いる臨床検体サンプルは既に準備ができており、パイロシークエンサーによるメチル化解析をおこなう環境設定もおこなえているため、CDDP耐性解除に働く遺伝子同定まで進めていけると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
シスプラチン耐性株作成まで至らず、従来の計画通り遺伝子プロファイリングからパイロシークエンサーによる解析まで進めることができなかったため次年度繰越金が発生した。今後新たに作成した肝芽腫細胞の網羅的解析を経て、順次研究を進めていく計画である。
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