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2022 年度 実施状況報告書

酵母由来ザイモサンによる乳幼児に適した経鼻型ノロウイルスワクチンの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07942
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

徳原 大介  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60448751)

研究分担者 趙 有季  和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80779398)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード粘膜ワクチン / アジュバント / ノロウイルス / 分泌型IgA抗体
研究実績の概要

乳幼児に効果的なノロウイルスワクチンの開発を目指した研究を実施した。まず、ザイモサンをアジュバントとして用いることによる粘膜面の防御免疫誘導の増強効果を検証した。ノロウイルスVLPをワクチン抗原としたワクチンを調整し、幼若(生後1週齢)・成熟(8週齢)BALB/cマウスに経鼻あるいは皮下免疫を行い、血中・便中のVLP特異的抗体価をELISA法を用いて測定した。その結果、皮下免疫群では、幼若・成熟両群においてザイモサンは血中のVLP特異的IgG抗体の誘導の増強がみられたが、便中のVLP特異的IgA抗体に関してはザイモサンの有無にかかわらず幼若・成熟両群において誘導されなかった。一方、経鼻免疫群では、幼若・成熟両群においてザイモサンは血中のVLP特異的IgG抗体の誘導を増強し、便中のVLP特異的IgA抗体に関してはVLP単独免疫でも両群において誘導されたが、ザイモサンをアジュバントとしてVLPに添加することによって幼若マウスでは顕著に便中のVLP特異的IgA抗体の誘導の増強がみられ、しかし成熟マウスではザイモサンによる便中のVLP特異的IgA抗体の誘導の増強はみられなかった。さらに、小腸粘膜固有層におけるVLP特異的抗体産生細胞数をELISPOTを用いて解析したところ、ザイモサンをアジュバントとして用いたVLP経鼻ワクチンは幼若マウスにおいてVLP特異的IgA抗体産生細胞数を増加させることがわかった。以上のことから、ザイモサンは幼若期の動物に対してワクチンアジュバントとして用いることによってワクチン抗原に対する特異的な粘膜免疫の誘導を効果的に増強しうることが明らかとなり、乳幼児に特化したワクチン開発の基盤技術として用いることができると考えられる。現在、VLP特異的抗体がノロウイルスを中和することを、ヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞を用いて検証を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究で開発しているノロウイルスワクチンの有効性を検証する上で、本来ならノロウイルスの中和効果を解析することが望ましいと考えられたが、申請者の研究室ではノロウイルス培養技術がなかった。そのため、VLP特異的抗体とヒト血液型抗原との結合親和性を検証することを計画していたが、研究開始後、ノロウイルスをヒトiPS由来小腸上皮細胞を用いて培養する技術を有している研究者との共同研究が実現し、今年度は血中・便中VLP特異的IgA抗体を用いたノロウイルス中和試験を開始することができた。このことは当初の計画にはなかった、しかし望ましい研究内容であり、当初の計画以上に進展しているものと判断した

今後の研究の推進方策

ノロウイルスをヒトiPS由来小腸上皮細胞を用いて培養する技術を基盤に、本研究で開発しているノロウイルスワクチンのウイルス中和効果を明らかにする。また、唾液中にもVLP特異的IgA抗体が誘導できているという予備結果も得ており、唾液を用いたウイルス中和効果についても検証する。それが実現すれば、ノロウイルスが進入する口腔内において唾液が感染防御に働くことを世界で初めて明らかにすることができ、経鼻ワクチンのさらなる有効性を強調することができる。

次年度使用額が生じた理由

予定していた国内学会への参加がコロナ禍のためweb参加となり旅費が不要となったことによる。一方、iPS細胞を用いたノロウイルス中和試験を新たに進める必要があるため、次年度は次年度使用額(B-A)と翌年度分として請求した助成金を合わせてiPS細胞を用いた中和試験等に用いる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 乳幼児に適した経鼻ノロウイルスワクチンの開発2022

    • 著者名/発表者名
      土橋智弥、佐藤友香、徳原大介
    • 学会等名
      第19回日本小児消化管感染症研究会
  • [産業財産権] 幼若対象用の経鼻ワクチンアジュバント2023

    • 発明者名
      徳原大介
    • 権利者名
      徳原大介
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2023-032052

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公開日: 2024-12-25  

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