研究課題/領域番号 |
22K07960
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大橋 真也 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (20435556)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 合成致死 / 食度扁平上皮癌 / トリフルリジン / Wee1阻害 / DNA修復応答 |
研究実績の概要 |
in vitroの実験として、食道扁平上皮癌由来のTE11R細胞を用い、Wee1をshRNAによりノックダウンさせた細胞(TE11R-shWee1 KD細胞)を作成し、ノックダウン効果をWestern blotで確認した。Wee1ノックダウン細胞は2系統作成した。FTDを親細胞またはWee1ノックダウン細胞の培養液に添加し、殺細胞効果をWST1アッセイで評価したところ、Wee1ノックダウン細胞の2系統のどちらにおいても有意にFTDに対する殺細胞効果が高まることが明らかとなった。またDNA障害の程度についてもg-H2AX発現で評価したところ、Wee1ノックダウン細胞の2系統どちらにおいても、親細胞よりも発現が上昇し、Wee1発現低下細胞でFTDのDNA障害が増強することをWestern blotで示した。in vivoの実験として、これらの細胞をヌードマウスに皮下移植して作成したxenograft腫瘍に対してFTDを投与し、抗腫瘍効果を検討したところ、Wee1ノックダウン細胞2系統どちらのxenograft腫瘍においても、親細胞由来のxenograft腫瘍よりもFTDの抗腫瘍効果が有意に増強することを明らかにした。次に食道癌患者由来のPDX腫瘍を作成し、FTDとWee1阻害剤(AZD1775)を投与して抗腫瘍効果を検討したところ、FTDとAZD1775の併用治療は、コントロールと比較し、有意に高い抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。また、免疫染色により、Ki67発現について検討すると、FTDとAZD1775の併用治療群では有意にKi67発現が減少し、抗腫瘍効果が高いことを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画書通りにin vitro, invivoの研究成果が出ているため
|
今後の研究の推進方策 |
今後は放射線治療との併用療法に関するin vitro, in vivoデータを取得し、臨床応用計画を立案する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
放射線治療との併用に関する実験費用として計画していた研究費用が次年度に実施する予定となったため
|