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2023 年度 実施状況報告書

一細胞遺伝子発現解析を用いた閉経後NASH発症機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07963
研究機関九州大学

研究代表者

田中 正剛  九州大学, 大学病院, 助教 (20837265)

研究分担者 合谷 孟  九州大学, 大学病院, 助教 (30884754)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード非アルコール性脂肪肝炎 / NASH / 閉経 / エストロゲン / クッパー細胞 / マクロファージ / 肝星細胞 / 一細胞遺伝子発現解析
研究実績の概要

非アルコール性脂肪肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis; NASH) は肝脂肪化を基盤として、炎症・線維化が起きる病態であるが、その発症機序はまだ十分には解明されていない。NASHの有病率には性差が存在し、女性は閉経前には男性より有病率が低いが、閉経後には男性と同程度となることが知られており、閉経による内因性エストロゲンの減少がNASH発症を促進すると考えられている。しかし、エストロゲンのマクロファージや肝星細胞等の非実質細胞に対する作用については不明な点が多い。
そこで野生型マウスおよびMC4R欠損雌性マウス7週齢に両側卵巣摘出術(対照群としてシャム手術)を行い、その1週間後より高脂肪・高コレステロール食を20週間負荷し、閉経後NASHマウスを作製した。Whole liverを用いたマイクロアレイおよびフローサイトメトリーを用いて単離した組織常在マクロファージおよび骨髄由来で肝臓に遊走したマクロファージのRT-PCR法による遺伝子発現解析により、卵巣摘出術によりCCL8の遺伝子発現が有意に亢進することを見出した。
更にMC4R欠損マウスのシャム手術群および両側卵巣摘出群のマウス肝から非実質細胞の単細胞懸濁液を作成し、一細胞遺伝子発現解析を行った。シャム手術群に比べて閉経後NASH群では遊走マクロファージが増加しており、CCL8の細胞間コミュニケーションを解析すると組織常在マクロファージから遊走マクロファージへのシグナルも増強していた。以上のことから閉経後状態ではエストロゲン欠乏が組織常在マクロファージからのCCL8発現を促進することにより、骨髄由来のマクロファージの肝臓への遊走が生じ炎症が増悪することでNASHを発症することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

閉経後NASHモデルマウスを作製し、NASHの表現型を呈していることが確認できた。また、肝組織および肝臓から単離したマクロファージ分画を用いた遺伝子発現解析により、閉経後NASH群で組織常在マクロファージにおけるCCL8の発現が亢進していることを明らかとした。また、予定通り一細胞遺伝子発現解析まで行うことができ、組織常在マクロファージから遊走マクロファージへCCL8シグナルが加わっていることが示唆される結果を得た。

今後の研究の推進方策

ヒトNASH生検サンプルをライブラリ化し遺伝子発現解析を行うことにより、今回雌性マウスモデルで同定したCCL8シグナルがヒトにおいても閉経後NASHで有意に増加しているかについて検証する。

次年度使用額が生じた理由

次年度にヒトサンプルを用いた遺伝子発現解析を提出する必要があるため、次年度使用とした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 肝非実質細胞を介した閉経後NASHの発症増悪メカニズムの解析2023

    • 著者名/発表者名
      合谷孟, 青柳知美, 鈴木秀生, 東夕喜, 日置智惟, 高橋基, 井本効志, 黒川美穂, 田代茂樹, 田中正剛, 国府島庸之, 小川佳宏
    • 学会等名
      第59回日本肝臓学会総会
  • [学会発表] NASHモデルマウスにおける肝線維化機序の解明2023

    • 著者名/発表者名
      井本効志, 東夕喜, 大野あかり, 青柳知美, 高橋基, 黒川美穂, 合谷孟, 田中正剛, 国府島庸之, 小川佳宏
    • 学会等名
      第59回日本肝臓学会総会

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公開日: 2024-12-25  

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