研究実績の概要 |
本研究では新規に14名の小腸病変を有するクローン病患者さんから糞便を回収し、また小腸ダブルバルーン内視鏡を用いて腸液および小腸粘膜擦過物を採取した。まず糞便の解析を行った。一般的に腸内細菌叢の門レベルでの構成はFirmicutesとBacteroidota はメジャーな細菌群であり、それぞれ20-50%, 15-50%を占めるとされる。 14例中、Firmicutes優位、Bacteroidota優位は共に50%であった。Firmicutes 20%未満及び50%以上はそれぞれ7.1%, 21.4%であった。一方、Bacteroidota15%未満及び50%以上は14.3%, 0%であった。Firmicutes及びBacteroidotaに続く、細菌群として proteobacteria及びActinobacteriotaはそれぞれ10%未満, 5%未満とされる。CD患者のうち、proteobacteria10%以上は28.6%, Actinobacteriota5%以上は71.4%であった。それ以外に細菌群はマイナーであるが、14.3%にFusobacteroita, 7.1%の患者にVerrucomicrobiotaがそれぞれ5%を超える患者が存在した。これらの結果からクローン病患者の腸内細菌叢は個々で差が大きいいことが言える。一方、我々が注目している組織侵入性の細菌、特に大腸菌は糞便からはほとんど検出されなかった。組織侵入性細菌は糞便検査では検出されにくい可能性あり、今後の小腸ダブルバルーン内視鏡で採取し小腸粘膜の細菌解析を行う予定である。
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