研究課題/領域番号 |
22K07969
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
黒沼 智 北里大学, 北里研究所病院, 上級研究員 (90748055)
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研究分担者 |
小林 拓 北里大学, 北里研究所病院, センター長 (10424144)
山田 悟 北里大学, 北里研究所病院, 部長(医師) (10286487)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高脂肪食 / 炎症性腸疾患 / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
近年、脂肪摂取比率の増加に比例するように炎症性腸疾患(IBD)が増加している。IBDは遺伝的要因や腸内細菌叢などが炎症に関与していると考えられ、腸管免疫の関わりを理解するためのキーワードとして腸内細菌叢が注目されている。腸内細菌叢に大きな影響を与える要因として食生活の変化がある。一般的に高脂肪の食事は腸炎の増悪要因として知られており、腸内細菌叢と腸管免疫に与える影響について盛んに研究が行われている。高脂肪食は糖質制限食とみることができ、近年食事療法として注目されている。しかし、糖質制限食が与える腸内細菌叢と腸管免疫、腸炎に与える影響が複雑であるため未だ全容は明らかにされていない。そこで本研究では、無菌動物モデルや腸炎モデルマウスを用いて糖質制限食が腸内細菌と腸管免疫、腸炎に与える影響を検討することを目的とした。本研究により、炎症の原因となる腸内細菌や代謝産物が同定されることはIBDだけでなく生活習慣病などの改善に寄与することが期待できる。2023年度はマウスも用いた研究を中心に行った。ヒト手術検体は7検体処理を行った。培養実験は7検体のうち3検体で行っ た。回収した上清などのサンプルは-80°Cで保存し、今後サイトカインなどの測定を行っていく。培養実験ができなかった検体については細胞を凍結保存し、今後の研究に役立てていく。 SPF環境下の野生型マウスを用いた研究は高脂肪食を与えたのち、脾臓および腸管組織から細胞を分離し解析を行なった。脾臓細胞において高脂肪食を与えた群において、制御生T細胞が増加傾向を示した。腸炎モデルを用いた検討を行っており、現在解析を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手術検体は7検体の処理を行うことができたが、分離できた細胞数が少なく、3検体でのみLPMCsの刺激実験を行なった。 マウスを用いた検討では、野生型マウスおよび腸炎モデルを用いた検討が概ね順調であるが、Rag2KOマウスを直繁殖している関係で当初の計画に比べ遅れが出ている。 腸炎モデルを用いた検討で良好な結果が得られておらず、腸内細菌叢の検討は行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在、得られているデータをもとに解析を進め、腸炎モデルマウスを用いた検討を中心に研究を進めていく。その結果から、有望なサンプルを絞り込み腸内細菌叢の検討を行っていく。 ヒト手術検体に関しては継続してサンプル収集を行い、これまでに得られた培養上清についてサイトカインの検討を適宜進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
行なった実験の解析結果から次の実験のための試薬類を購入する予定であった。解析に予定よりも時間がかかったために年度内ので使用ができなかった。 解析結果より次の実験について方針が定まったため、実験計画に基づき必要な試薬購入費に充てる。
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