研究実績の概要 |
はじめに、酪酸含有マイクロカプセルの作成を行った。酪酸含有量、マイクロコートカプセルの厚さなどの調整を行い作成した。セラック及び硬化油の2層コートで加熱し作成した。マウスへ経口投与する際に用いるゾンデ内の通過性も検証し投与に問題ないことが確認できた。7-8週齢のC57BL/6マウスに抗菌薬カクテル(バンコマイシン 500 mg/L, ネオマイシン 1 g/L, アンピシリン 1 g/L, メトロニダゾール 1 g/L)を、ゾンデ法を用いて3日間投与。その後、C57BL/6マウスに4%DSSの自由飲水により腸炎を誘発した。酪酸含有コートマイクロカプセルを連日投与したマウスとコントロールマウスとで腸管障害の比較を経時的な体重減少率と解剖セ摘出後の腸管長の比較で評価を行った。抗菌薬3日間投与後、マウスを解剖し盲腸に残存する糞便を回収、質量分析により短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)の濃度を測定した。その結果いずれも感度以下まで抑制された。また酪酸含有コートマイクロカプセル投与により腸管内盲腸内容物の酪酸濃度の上昇を確認できた。DSS腸炎モデルにおいては、抗菌薬非投与マウスに比べてコントロール群(抗菌薬投与)では有意に体重減少率の悪化、腸管長の高度短縮、病理組織学的評価における腸管粘膜障害の増悪を認めた。一方、酪酸含有コートマイクロカプセル投与群では、体重減少率の抑制、腸管長短縮の改善と病理組織学的な粘膜障害の抑制が確認された。今後有効性の検討予定であるtofacitinibのDSS誘発大腸炎における粘膜障害抑制効果については、投与方法、投与量の設定を行い効果を確認した。
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