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2022 年度 実施状況報告書

人工知能を応用した潰瘍性大腸炎の組織学的再燃リスクの探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K07992
研究機関北里大学

研究代表者

小林 拓  北里大学, 北里研究所病院, センター長 (10424144)

研究分担者 山本 陽一朗  国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, チームリーダー (00573247)
前田 一郎  北里大学, 北里研究所病院, 部長(医師) (30350664)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード炎症性腸疾患 / 組織学的寛解 / 病理学 / 潰瘍性大腸炎 / 人工知能
研究実績の概要

慢性疾患である潰瘍性大腸炎において将来の再燃リスクを防ぎ寛解を維持することは必須である。組織学的所見の改善が良好な長期予後と相関すると報告されてきたが、その予測能が十分ではないために実際の臨床には反映されていない。本研究では山本らの人工知能を用いた病理組織からの前立腺がんの再発予測の手法を応用し、人工知能(artificial intelligence, AI)に潰瘍性大腸炎の内視鏡生検サンプルの病理組織画像と予後に関する情報(1年以内の再燃の有無)を学習させることによって、“再燃しやすい組織像”をAIに認識させ、再燃を予測することを試みる。さらには臨床(内視鏡や病理診断)情報を加えることによってAIの再燃予測の精度をさらに向上できるかどうかも検討する。最終的にはAIの臨床応用だけでなく、AIの見出した病理組織画像の特徴を言語化し、直接AIを使用せずに一般臨床に応用する試みと併せて、患者予後の改善を目指す。
本研究の根幹はUCの治療の個別化を実現していくことである。AIにより寛解期の粘膜の病理画像から再燃を予測可能かの検討を予定しているが、再燃予測と両輪で重要と考えられる治療の有効性について、治療導入時の粘膜の病理画像から予測可能か検討することをまず開始している。現時点では当院で治療したステロイド有効例、抵抗例の計約50症例を抽出し理化学研究所にてAI学習、テストを行いAUC 0.78の精度で予測できるという中間結果を得ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の最終目標は人工知能(AI)を用いて潰瘍性大腸炎(UC)の治療効果や再燃を予測することで、UCの治療の個別化を実現していくことである。AIにより寛解期の粘膜の病理画像から再燃を予測可能かの検討を予定しているが、症例数が膨大であることから、先行してステロイド治療の有効性について、治療導入時の粘膜の病理画像から予測可能か検討することとした。ステロイド治療は中等症以上のUCの治療のゴールドスタンダートである。一方で易感染性や骨粗鬆症などの副作用を認めることやステロイド治療が無効である抵抗例も少なくない。AIを用いてステロイドの有効性が予測可能となれば、ステロイドに代わり第一選択として分子標的薬を導入するなどの治療の個別化を行い予後が改善される症例が増えることが期待できる。
現時点では当院で治療したステロイド有効例、抵抗例の計約50症例を抽出し理化学研究所にてAI学習、テストを行いAUC 0.78の精度で予測できるという中間結果を得ている。今後さらに症例数を増やし学習の精度をあげていく必要があると考え、北里大学病院との多施設共同研究に移行する手続きを完了している。

今後の研究の推進方策

北里大学病院でのステロイド治療の有効例、抵抗例を抽出しAI学習を繰り返し行い、さらにAIで予測された有効例、抵抗例の病理学的特徴について言語化を図っていく。また、寛解期の再燃予測についても同様に寛解期の病理検体の抽出を行いAI学習を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

現在予備検討から中間解析に入っているが、助手の雇用を要さずに実施している。
多数例の収集に入った際には助手の人件費を要する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] クローン病疾患管理はどこまで進化できるのか ~デジタル技術を利用した個別化医療の可能性~2023

    • 著者名/発表者名
      小林拓
    • 学会等名
      第19回日本消化管学会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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